「浴」この名字、読めますか? 「谷間」を指す山陽地方での呼び方に、こんな漢字があてられました

日本の難読名字

森岡 浩 森岡 浩

「浴」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。

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「浴」という漢字は訓読みが「あびる」、音読みは「よく」である。しかし、名字では「浴」と書いて「えき」と読む。

中世の人は、谷間に住むことを好んだ。谷間には稲作に必要な川が流れ、近くの山からは燃料としての薪がとれる。さらに山に入れば木の実や山菜がとれるなど、暮らしいやすい場所だったからだ。

また武士にとっては、四方から攻められる可能性のある平野の中心部よりも、谷の入り口だけを防御すればいい谷間の方が守りやすい土地だった。

そのため、こうした谷間は各地でいろいろな呼び方をされた。関東では「やつ」といい、飛騨では「ほら」という。そして、西日本では広く「さこ」「せこ」といわれることが多い。そうしたなか、山陽地方では「えき」ともいい、これに「浴」という漢字をあてたのが由来。

「浴」だけでなく、「浴井」「浴田」「浴野」など、多くのバリエーションがある。

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