「藤」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。
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「藤」という名字は珍しくはない。ただし、多くは「ふじ」と読み、九州では「とう」と読むことも多い。しかし、「ふじ」でも「とう」でもない、それ以外の極めて珍しい読み方もある。
今年の夏の甲子園、3回戦の日本航空高校と智弁学園高校との試合で7回途中から登板した日本航空高校の藤選手が、無観客の場内アナウンスで「かずら」君とコールされ、テレビやネットで見ていた視聴者がどよめていた。
藤選手は1回戦、2回戦ともに先発メンバーには名を連ねていたものの、いずれも打席に立つ前に交代しているため、実質的な初出場だった。
「かずら」とは蔓植物の総称で、通常は「葛」という漢字がつかわれている。一方、古代において蔓植物のツルの部分は「ふじ」と呼ばれていた。「かずら」のツル「ふじ」に、漢字の「藤」をあて、「藤」で「かずら」と読むようになったと思われる。
藤選手はプロ志望届を提出しており、10月11日のドラフト会議で指名されてプロ入りする能性がある。