10月5日、JR東日本は指定席特急料金の料金体系に「最繁忙期」を新設することを発表しました。前々からややこしい指定席特急料金ですが、より注意が必要です。
現在は3段階制の料金体系
新制度を解説する前に現在の指定席特急料金の制度を確認します。新幹線を含めJRの特急列車の指定席車に乗車する際は乗車券の他に指定席特急料金を支払います。
JR東日本(一部の特急列車を除く)、JR東海、JR西日本、JR四国における指定席特急料金の金額は時期によって異なり、現在は3段階制(通常期、閑散期、繁忙期)になっています。ベースは通常期になり、閑散期は通常期-200円、繁忙期は通常期+200円です。
通常期、閑散期、繁忙期の日程はJRグループが独自に定めており、時刻表などで公表されています。なお、JR北海道内・JR九州内の在来線と「踊り子」をはじめとするJR東日本の一部の特急列車は1年を通して指定席特急料金の金額は同じです。
JR東日本が新設する「最繁忙期」
10月5日、JR東日本は2022年4月1日から新たに「最繁忙期」を新設し、4段階制にすることを発表しました。料金制度は以下のとおりです。
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【JR東日本が発表した新たな指定席特急料金の制度】
最繁忙期:通常期+400円
繁忙期:通常期+200円
通常期:
閑散期:通常期-200円
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また新たな指定席料金制度はJR東日本のすべての特急列車に適用されるわけではありません。適用される列車は以下のとおりです。
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【JR東日本が発表した新たな指定席特急料金が適用される列車】
▽JR北海道
北海道新幹線
▽JR西日本
北陸新幹線
▽JR東日本
東北、上越、北陸、秋田、山形の各新幹線
一部の特急列車(つがる、いなほ、しらゆき、草津、成田エクスプレス、わかしお、しおさい、さざなみ など
一部の快速列車(リゾートしらかみ、はまゆり など)
※快速列車は「最繁忙期」「繁忙期」はありません
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このように首都圏発の「ひたち」「踊り子」「あずさ」などの特急列車には新制度は適用されないのでご注意ください。またJR北海道とJR西日本はJR東日本管区に直通する新幹線に適用されます。
「最繁忙期」に利用すると値上げだが…
「最繁忙期」は年末年始、ゴールデンウイーク、お盆期間などに設定されます。そのため、この時期に新幹線などを利用すると、事実上の値上げになってしまいます。
これだけ書くと「損な制度」と思ってしまいますが、実はそうではありません。最繁忙期(+30日)が設定された代わりに繁忙期は-43日、通常期は-11日になり、料金が安い閑散期は+24日と大幅に増加します。
たとえば現在は8月1日~31日が繁忙期になりますが、新制度の2022年8月は1日~9日が繁忙期、10日~19日が最繁忙期、20日~31日が通常期となります。つまり、旅行を8月下旬にずらすと、事実上の値下げになります。
新型コロナウイルス感染症による社会情勢の変化により、「密」を避ける社会が形成されつつある今日この頃。今回の新制度もできるだけ利用客を分散させたいという意図が伝わります。
また臨時列車の設定に関連する車両運用や災害時の対応を考えると、極度の「密」は鉄道会社にとっても考えもの、という感じではないでしょうか。さまざまな意見はあると思いますが、今回の新制度はウィズコロナ社会にマッチしていると思います。
ただし、新制度はJR全線で適用されるわけではないので、より複雑になった感は否めません。個人的には誰にでもわかりやすい統一的な料金制度を望みたいです。