コンタクトレンズ何歳から?→「安全に使用できる人」の例えが秀逸 寄生虫による角膜炎リスクも

中将 タカノリ 中将 タカノリ

「脱いだ服を自分でちゃんとかたづけられるようになったらね」

コンタクトレンズを安全に使用できる人の基準についての発言がSNS上で大きな注目を集めている。この発言は 浜松医科大学医学部眼科病院教授の佐藤美保さん(@MihoSato2)によるもの。

「『何歳になったらコンタクトレンズできますか?』って聞かれると『脱いだ服を自分でちゃんとかたづけられるようになったらね』と答えます。たいてい親子で顔を見合わせて『まだ駄目だね』っておっしゃいます。高校生、大学生でも危ないかもね。コンタクトレンズはキチンと管理できることが必要です。」

たしかに直接目に装着するコンタクトレンズのこと、安全に用いれるかどうかは年齢と言うよりは個人ごとの素質にかかっている。「装着したまま寝てしまった」「使い捨てのものを何日も使っている」などはよく聞く言葉だが、そんなことでは到底コンタクトレンズの装着には向いていないというわけだ。佐藤さんの発言に対し、SNSユーザー達からは

「なるほど。自分は中1からコンタクトでしたが、都度検診の時には『傷も無くとてもキレイ』と言われながらウン十年…この度中1の娘も視力矯正が必要になりましたが、彼女にはコンタクトの管理は難しいと判断し、眼鏡にしましたw」

「不器用なのでコンタクトレンズにしたら絶対なんかやっちゃうって思ってたのでメガネだけで生きてきました。未だに脱いだ服を自分でちゃんと片付けられないのでこの先もメガネです(汗)」

「00年代カラコンによる疾患が多々あったこと(今も?)記憶しております。」

など数々のコメントが寄せられている。

佐藤さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):今回のご発言のきっかけをお聞かせください。

佐藤:コンタクトレンズの不適切な使用による目のトラブルが続いており、眼科医は適正使用について随時注意をしております。今回はさらに、2021年9月11日に消費者庁からコンタクトレンズの適性使用に関する注意喚起がありましたので、ちょうどよいタイミングと思いました。

初めてメガネをつくるような小学生の保護者から「いつになったらコンタクトレンズにできるのか」という質問をよく受けます。しかし、これは単純に年齢では決められず、コンタクトレンズは適切に手入れ、管理ができるかどうか、お子さんの性格によるものです。つける前には石鹸で手を洗う、帰宅したら外して、コンタクトレンズを洗浄し、キレイなケースに入れる、ケースは適宜消毒する、などたくさんの管理が必要です。学校にコンタクトレンズをしていこうと思うと、今までより30分くらい早起きしなくてはなりません。一方で、治療のためにコンタクトレンズが赤ちゃんの時から必要な子供さんもいて、低学年でも自分で管理する子もいます。そのことを保護者に説明するにあたり、私はいつも「自分の脱いだものをかたづけられるようになったら」とご説明しています。このフレーズは親御さんにとっても、子供さんにとっても理解しやすいため、ご家族で相談して使い始める時期を決めることができます。同様の質問をうけて返答にお困りの眼科医に使っていただければと思い投稿しました。

中将:無精や管理の不徹底で起こるコンタクトレンズのトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか?

佐藤:充血、目の痛み、目やに、アレルギー性結膜炎などが最も多いトラブルです。角膜と言う目の表面に傷がついたりします。すぐに治療しないと、傷口から細菌やアカントアメーバという寄生虫がついて角膜炎をおこします。これは激痛となり、治療しても角膜ににごりが残るため視力がもとにもどらず、ひどいと失明につながるようなこともあります。特に重症な角膜感染症をおこすアカントアメーバは日本の水道水の中やプールなどに存在するため、水道水につけたり、プールで泳いだりするだけでも感染する危険があります。健康な人なら、通常は感染しませんが、そのまま何回も不適切な管理で使い続けると感染します。ほとんどが管理方法がずさんなことから起こります。

中将:近年は若年層の方を中心にコンタクトレンズ、またはカラーコンタクトの使用が増えているようですが、事故や不具合も比例して増えているようです。このような状況について佐藤さんのお考えをお聞かせください

佐藤:コンタクトレンズは高度管理医療機器といって最も管理を厳しくしないといけない医療機器です。ファッションの一部として雑貨店や化粧品の横に並んでいますが、簡単に考えないでほしいと思います。花粉症、ドライアイなどコンタクトレンズが眼に合わない人もいるので、必ず事前に眼科を受診して処方してもらうこと、海外通販や雑貨店では承認を得ていないものも売られているようなので日本で承認を受けたコンタクトレンズを購入することが大切です。使い捨てコンタクトレンズを何回も使ったり、カラコンを友達と貸し借りしたいなど適切な使い方を知らない人が危険と思います。また、保護者の知らないうちに購入して使っている可能性もあります。20代から30代で働いたり子育て世代になると、忙しくて管理が悪くなることもあります。私たちは、地道に何回も注意喚起することが必要だとおもっています。

中将:これまでのSNSの反響についてご感想をお聞かせください。

佐藤:眼科医だけでなく多くの一般の方に見ていただけて良かったと思います。ご家庭で親子で話し合うきっかけになってもらえればうれしいです。

「コンタクトレンズを作成する際には、眼科医を受診して処方してもらい、定期的に検診を受けてください」と佐藤さん。読者のみなさんはコンタクトレンズを適切に扱えているだろうか?コンタクトレンズの扱いについては日本コンタクトレンズ学会が制作したウェブ記事「正しいコンタクトレンズのケア」が詳しいので、もし不安のある方はぜひご覧になっていただきたいと思う。


佐藤美保さんTwitterアカウント:https://twitter.com/MihoSato2

日本コンタクトレンズ学会「正しいコンタクトレンズのケア」:http://www.clgakkai.jp/general/study.html

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