SNS上で、ブドウを大量に食べた犬が亡くなってしまったことが話題になっています。ブドウを食べることで犬が死に至ることなどがあるのでしょうか。滋賀県近江八幡市の動物病院「キャットクリニック」を運営する獣医師・小宮みぎわ氏に聞きました。
SNSで話題になっているのは、急に立てなくなったり、口から泡が出たりという症状で病院に訪れた高齢犬のケース。便の中からブドウの種が数多く確認され、治療が行われましたが、亡くなってしまったといいます。投稿を見た人たちからは、ブドウの危険性に驚く声が寄せられています。「人間が食べられるから、と思いがちだけど気をつけないと」「日常的に身の回りにある食品だから恐ろしいな」などといった意見もありました。
―犬がブドウを食べて亡くなったことに、SNSで驚きの声が上がっています。
犬の「ブドウ中毒」といわれるものですね。ブドウを食べることで急性腎不全を起こし、最悪の場合死に至ることがあります。生のブドウだけでなく、レーズンやジュースなどでも起きることがあります。
動物病院では、季節ごとに多い病気というのがあるのですが、ブドウが旬のこの時期、ブドウ中毒は散見されます。SNSでも中毒に気をつけるような呼びかけが毎年見られます。
―中毒とのことですが、どれくらい食べると危険なのでしょうか。
それが不思議なことに、少し食べただけで重症になる子がいる一方で、毎日ブドウを食べていても何もない犬もいるのです。何事にも個体差というものがあるのですね。ただ、それは事前に分かるものではないので、中毒の報告がある以上、「与えない」に限ります。
―中毒を疑う注意するような症状はありますか。
どんな病気でもそうですが、▽元気食欲、意識レベルに問題ないか?▽嘔吐下痢などの消化器症状はないか?▽全身の震えやヨダレが大量に出るなどがないか?…といったところを確認してください。なお、腎臓がどのくらい不可逆的に壊れてしまうかによって、予後が異なります。食べてすぐであれば、注射などで吐かせるという方法が取られますので、誤って食べてしまった場合には動物病院を受診してください。
―飼い主が気をつけないといけないことはありますか?
犬は果物が好きなので、ブドウは割と好きな子が多いようです。愛犬が知らない間に食べてしまったりしないよう、食卓にブドウを置きっぱなしにしないことですね。
―そのほか、犬に食べさせてはいけないものなどはありますか?
玉ねぎ、長ネギ、にら、ニンニクのほか、チョコレートやキシリトールなどが知られています。
あとは何でもそうですが『爆食』は良くありません。少しであれば、問題ないけれども多量に食べると大問題という食べもの(飲みもの)はよくあります。例えば、水や塩も大量に摂ると中毒になります。