「明治時代のワクチン証明証」が出てきた 「当時の状況を示す資料」「今でいうワクチンパスポート」と多くの反響

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「明治のワクチン接種済み証出てきた」と、満船堂さん(@mansendo)がTwitter上で公開された写真が話題になっています。

現代において、ワクチン接種は予防医学の基本であり、多くの感染症対策に用いられています。最近では、新型コロナウイルスのワクチンが世界的に注目されていますね。

今回、満船堂さんが公開されたのは、「種痘」という天然痘を予防するためのワクチン接種の証明書。資料は祖父母宅で見つかったそうで、ワクチン接種をされたご本人も満船堂さんの尊属にあたる方だそうです。

天然痘は1980年にWHOにより根絶宣言がなされましたが、それまでは何千年にわたって世界的に流行していた感染症。日本でも多くの犠牲者が出たと言われています。

そんな天然痘を予防するための種痘ですが、主な方法に牛痘と呼ばれる病気に罹った牛の膿を接種する「牛痘法」があり、これがワクチンの語源になったとも言われています。

このように、ワクチンの起源ともいえる種痘。満船堂さんの公開された今回の資料は、その意味でも意義があり、また明治という時代を示すうえでも重要なものです。

「こういうの残ってるのすごいと思う」

「ワクチン接種って、昔からあるんですねー」

「摂津国…当時は廃藩置県されたといっても、まだ県よりも律令国の方が馴染みがあったんでしょうかね」

「その当時も西区があり、阿波座も西長堀も既にあったことに驚き」

「当時の状況を示す資料です。何卒大事に保管していただければ幸いです」

リプ欄には医学・歴史・文化、さまざまな視点からの感想が寄せられました。

現在のワクチン事情についても考えさせられる

また、リプ欄の中には、

「今でいうワクチンパスポートのようなものが、明治にあったとは」

「この時も陰謀論はあったんでしょうかね…?」

「その当時も、ワクチン接種したら『死ぬ』って言われていたのかなぁ?」

「コロナワクチンの接種証明書が、100年後こんな風に子孫に見られるのかなぁ」

といったコメントもあり、現在のワクチン接種に関する状況と絡めて考える方が多くいらっしゃるようでした。

近年、新型コロナワクチンが普及しつつある一方で、ワクチン接種に賛成しないという意見もあります。また、ワクチンパスポートなど接種に関連する政策にもさまざまな意見があるでしょう。

ワクチンにはメリットだけでなくデメリットも指摘されているので、人によって見解が分かれることは当然のことかもしれません。

種痘が始まった当時の日本でも、似たような動きはありました。「牛痘法=牛の膿を体内に入れる」ということに対する偏見から、「種痘をすると牛になる」という迷信が広まり、多くの方々が接種を嫌がったそうです。

手塚治虫さんの漫画『陽だまりの樹』では、そのような偏見や無理解に対する苦難を乗り越えながら種痘の普及に努め、種痘所の開設に向けて奔走する幕末の蘭方医たちの姿が描かれています。

もちろん、ワクチン接種は強要されるべきものではありません。考え方は人それぞれであり、接種するしないを決める自由はあるでしょう。

しかし、それは根拠のない噂や一方的な論調に惑わされるのではなく、ご自身のしっかりとした考えに基づいたものであるべきなのではないでしょうか。

「ワクチンの起源」にまつわる資料ですが、「現在のワクチンへの認識」について考える機会にもなりますね。

他にも多くの歴史的な資料を公開

とても意義のある資料を公開された満船堂さんですが、他にもアンティーク・古文書・写真といった資料をご自身のTwitterやホームページにて公開されています。

満船堂さんに聞きました。

――公開されている古文書や写真などはどこから入手されているのですか?古物商をされているのでしょうか?

満船堂さん:資料はすべて祖父母宅から見つかったものになります。古物商ではなく個人的に公開しています。

――今回の種痘の証明は満船堂さんのご親族の方のものだそうですが、Twitterではそのお母さまの資料も公開されていますね。どのような内容の資料なのでしょう?

 

満船堂さん:詳しい内容は不明なのですが、講会場の許認可願いと認可されてからの資料のようです。資料の文末に「講主 ○○○○(氏名)」と記されていたので、代表を務めていたようです。

――そうなんですね、てっきりワクチン接種に関連する話なのかと(笑)。これらの古い資料の魅力とはどのようなところだと思われますか?

満船堂さん:「当時の生活や様子」、「それらが現代までどのように変化したか或いはどのような影響を与えたのか」、「印刷内容物における当時ならではのデザインや表現」、この3点が分かることが魅力だと思います。

――個人的に特にお気に入りのものは?

満船堂さん:高祖父が撮影した明治または大正時代の大阪市内の写真です。近代的な橋や洋風建築がある一方で日本家屋も見えたり、和服の青年の1人が帽子を被っていたりと、伝統的な文化と西洋からの文化が一つに収まっているところが素敵だと思います。また、写真に写っている青年たちと撮影した高祖父と間にどのような会話があったのか想像するのも楽しいです。

満船堂さんのTwitterはこちら→https://twitter.com/mansendo

満船堂さんのホームページはこちら→https://mansendo.com/

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