オンライン授業長期化でうつ症状も…ロックダウン続く海外の学校事情「遅れたら一気」米国「家庭ごとに選択」

斉藤 絵美 斉藤 絵美

 

パンデミックから1年半が過ぎても収束が見通せない新型コロナウイルスの流行。日本でもデルタ株の流行で感染しにくいと言われていた子どもたちにも陽性者が急増し、都市部を中心にオンライン授業に切り替える学校が出てきています。一方、海外の「オンライン授業先進国」の中では、長期にわたる遠隔授業が子どもの心に大きな負担を与えているケースも。マレーシアと米国で暮らす保護者2人に、現地の実態や子どもへの影響を聞きました。

1年半に渡る遠隔授業「勉強についてけない」消えた笑顔

【ケース1】マレーシア:中学2年の長女、小学1年の長男の母親

昨年3月から休校となり、しばらくしてオンライン授業が始まりました。対面授業とは違って、1日2教科のみ。それ以外の時間では、教科書を見ながら自習として与えられた課題を解き、先生に写メで送って添削してもらっています。

長女はこれまで学業面では学校で最優秀生徒賞に選ばれるほど優秀で、しっかり者の頑張り屋さんでした。なので、オンライン授業になっても安心して部屋で一人で勉強させていました。でも、マレーシアで感染爆発が起こり、ロックダウン(都市封鎖)となった今年6月以降、長女が家であまり笑わなくなったことに気づきました。

自分の部屋に閉じこもり、これまでは友達とやりとりしていた携帯電話を触ることも怖がるようになりました。じっくりと話を聞いてみると、一部の教科で授業についていけなくなったようです。「今までできていた」というプライドが邪魔をしてか、先生にも親にも分からなくなったことを言えず、ストレスになって鬱とパニックを併発していました。いま、病院にも通っています。

長女は勉強より、友達と話したり、みんなで行事を作り上げたり、部活動に取り組んだり、友達と何かをすることが楽しみで学校に通っていたので、長い間友達に会えないことも大きなストレスでした。

望む対面再開 勉強よりも「友達と一緒に何かがしたい」

長女の異変に気づいてからは、オンライン授業を一緒に聞くようになりました。子どもが普段どのようなことを学んでいるか、学習の態度や苦手な部分を確認できたのはよかったです。でも、先生によっては授業スピードが早く、復習しないでどんどんと進めていくため、一度つまずくと大変なことになるなと痛感しました。

また、中学生にもなると、全ての子たちがライブ授業の時にもビデオやマイクをオフにしているので、先生から生徒の表情が見えないので、フィードバックもしにくいのではと感じました。

マレーシアでは10月から学校が1年半ぶりに再開される予定です。長女は病院でカウンセリングを受け、友達とも頻繁にやりとりできるようになり、少しずつ元気を取り戻しています。今は学校に行ってみんなと一緒に何かがしたい、と意欲を見せています。

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