オンライン授業長期化でうつ症状も…ロックダウン続く海外の学校事情「遅れたら一気」米国「家庭ごとに選択」

斉藤 絵美 斉藤 絵美

「家の中を△周!」画面越しに友達と“競争” 低年齢には課題も

【ケース2】アメリカ:高校生の長男(18歳)、中学生の次男(12歳)の母親

昨年3月、住んでいる州で初の感染者が確認され、突然の休校になりましたが、週開けには希望者全員に学校からタブレット端末が貸し出され、オンライン授業に切り替わりました。対応の早さにとても驚きました。授業は対面とほぼ同じで、長男(ハイスクール)は午前7時半〜午後1時半、次男(ミドルハイスクール)は午前8時〜午後2時まで。授業が始まる前に、担当の先生のコードにアクセスするという手法で授業を受けていました。

正直、学力面で心配はありましたが、数カ月の辛抱だと思っていました。でも、結局、新年度が始まる今年9月までの1年半も続きました。

教材は学校が用意し、保護者が車で取りに行き、ドライブスルー方式で受け取りました。運動不足にならないかという不安もありましたが、体育の授業では「家の中を△周!」とか、「階段の登り下りを□回!」などのお題が出され、腹筋の回数を画面越しでも友達と競い合うなど、先生や生徒同士でコミュニケーションが取られる工夫がされていました。

兄弟は別々の部屋でパソコンの前で一日中授業を受けていました。はじめは隣でサポートしましたが、2人とも自分で学習できる年齢だったので、つきっきりになる必要はありませんでした。でも、知り合いの幼い子を持つ人を見ていると、まず子どもをパソコンの前に座らせることが大変で、保護者も相当なストレスを抱えているように感じました。

感染の不安と通学時間から解放、増えた睡眠と家族の時間

オンライン授業では、子どもたちが自室にこもってしまうため、何をしているかが、見えにくくなります。先生からも全てが見えるわけではないので、YouTubeを見ながら授業を受けている子もいるという話を聞いたことがあります。

今年3月からは対面授業とオンライン授業を選択できましたが、我が子たちはオンラインを選びました。長男は「オンラインの方が集中できる」、次男は「コロナが怖い」という理由でした。学習面や精神面の不安がなかったわけではありませんが、オンライン授業によって子どもたちが感染する心配はなく健康で安全に過ごせることの方がありがたかったです。

また、通学時間などがなくなったことで睡眠時間が増え、夫も在宅勤務になったため、家族で過ごす時間も長くなりました。ただ、家族全員がずっと家にいて、みんなのスケジュールに合わせた時間で食事を準備する私にとっては少し負担でしたが…。

一方で、共働きの家庭では子どもだけで自宅でオンライン授業を受けることはとても難しい状況と思います。アメリカのように、それぞれの家庭の事情に合わせて、オンラインか対面かを選択できるのが一番いいなと感じます。

◇  ◇

日本でもタブレット端末の配布や校内LANの整備など学校側の態勢が整いつつある今、感染状況によってはオンライン授業が長引く可能性も考えられます。単に決められた学習内容をこなすのではなく、画面越しでも友達同士コミュニケーションが取れるような授業の工夫はもちろん、つまずいた時のキャッチアップや心身を含めたフォロー態勢も整えてほしいもの。さらには家庭の事情に合わせてオンラインか対面かを選べたり、進み具合も一律でなくその子に合わせたり…と、これまでの教室で続いてきた画一的な授業からの「発想の転換」が、何より必要なのかもしれません。

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