清野菜名、憧れのミラ・ジョヴォヴィッチへの第一歩 血しぶき浴びてゾンビなぎ倒す新作に「夢が叶った」 

石井 隼人 石井 隼人

初尽くしで夢も叶う。アクション演技に定評のある女優・清野菜名(26)が、12本の短編からなるオムニバス映画『DIVOC-12』(10月1日公開)の一編『死霊軍団 怒りのDIY』で、高校時代から憧れていたハリウッド女優ミラ・ジョヴォヴィッチに一歩近づいた。

すべてが停滞しているコロナ禍において「暗い気持ちを吹き飛ばしてくれたのはエンターテインメントだった」と確信した清野が、迫りくる死霊=ゾンビという脅威をスカッとするほどになぎ倒す。面白おかしくも愛らしい、そんな本作にこそ“エンタメは不要不急なのか?”というムズカシイ問いの答えが、実は隠れているのかもしれない。

『DIVOC-12』は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けているクリエイターらが継続的に創作活動に取り組めることを目的にしたオムニバス映画プロジェクト。藤井道人、上田慎一郎、三島有紀子ら12人の映画監督による12本の短編映画が上映される。

清野も「コロナを理由に作品が中止になったり、延期になったり、エンタメ業界でも苦しい思いをしている人は沢山います。そんな中で邦画界を盛り上げようとする今回の企画には勇気をいただいたし、胸を打たれました」と企画意図に感銘を受けた。

しかも与えられたのは、往年のスプラッター映画と香港アクション映画への愛情がたっぷり詰まったゾンビもの『死霊軍団 怒りのDIY』。高校時代に観たミラ・ジョヴォヴィッチ主演の『バイオハザード』(2002年)でアクションに開眼した清野に断る理由は何もなかった。

「ゾンビに追いかけられ、血しぶきを浴びながら戦う強い女性を演じるのが私の夢の一つでした。この企画はエンタメ業界を盛り上げるだけではなく、私の夢までも叶えてくれるんだと嬉しかった」と気持ちの面でも盛り上がった。

実際に追いかけられると超怖い

監督はジャンル映画をこよなく愛する異才・中元雄。鬼に金棒である。「ゾンビのちぎれた腕をヌンチャク代わりにして戦ったり、ゾンビの目玉が口に入って吐き出したり、スコップで徹底的にゾンビを殴りつけたり、すべて初体験。リアルなグチャグチャ系ゾンビに追いかけられたりして、演技とはいえ大興奮しました」と演者も監督もスタッフも、徹底的に楽しんだという。

楽しむと度が過ぎるもの。対峙するゾンビたちのメイクがあまりにもグロテスクで「実際に追いかけられると超怖い。ゾンビ役の方々が楽屋からゾロゾロと撮影現場に移動する姿は異様でした。撮影だと知らない人が見て警察に通報したらどうしようと不安になりました」と笑う。

得意のアクションでは、憧れのミラ・ジョヴォヴィッチ感を意識。「それにプラスして監督が好きなブルース・リーやジャッキー・チェンの雰囲気も取り入れたので、みんなが大好きなアクションスターの集合体のようなカッコいい殺陣になっています。テンポの変化や余韻も意識。躍動感を出すために、髪の毛の揺れにも余韻を持たせるようにしました」と見どころにあげる。

ふさぎ込んだコロナ禍を救ったもの

正直なところ、コロナ禍になってふさぎ込んだ時期もあったという。清野は「昨年の緊急事態宣言の際には急にライフスタイルが変わってしまい、戸惑いもありました。ニュースを目にすると気持ちが暗くなったりして、どうしていいのかわからなくなった」と打ち明ける。

漠然と流れる時間。それを埋めて勇気と元気を与えてくれたのは、やはりエンターテインメントだった。「自宅で映画やアニメを観る中で、面白い作品に出会うと気持ちが上がってスカッとした。エンタメの存在は自分の中でとても大きな支えになりましたし、その世界で仕事をしてる自分は幸せ者だとも思いました。私がエンタメに救われたように『死霊軍団 怒りのDIY』を通して、少しでも暗い状況を忘れて明るく前向きな気持ちを与えることができたら嬉しい」と思いを込める。

短編ゆえに撮影期間は短かったものの、そんな短期間であっても今回の参加は清野に新たな発見をもたらした。「アクションとはいえども、自分がこれまでやって来たジャンルとは違うものをやらせていただき、改めてアクションは奥が深いと思った。そして『まだまだ新しいことはある!』と奮起させてもらえた」と生き生きとした表情で「長編版が製作されるならば絶対に挑戦したい!」と未来に期待する。“エンタメは不要不急なのか?”その答えは、弾むような清野の明るい表情にある。

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