改名が開運に繋がることもある。22歳の時に“本田なお”から現在の芸名に改名した女優の奈緒(26)は、改名を機に道が開けたことを実感している。偶然やタイミングだと見る向きもあるだろう。しかし奈緒の改名エピソードを聞くと、人知を超えた奇跡というものは少なからずあるのではないか?と思わされる。奈緒の改名は、生後7か月の時に急逝した愛すべき父に捧げられたものだからだ。
前の芸名・本田なおは、好きな漫画のキャラクターから苗字を拝借。「奈緒というのは本名で、前の芸名で下の名前をひらがなにしたのは、苗字と名前を並べたときに見た目のバランス的にいいというだけ。深い考えはありませんでした」となんとなくの芸名でしばらく活動を続けていたという。
地元・福岡から上京して2年目の22歳の時、本名の奈緒として再出発することを決める。「父は私が生後7か月の頃に亡くなっています。そんな父がつけてくれた漢字の奈緒という名前には思い入れがありました。本田なおという芸名で活動するうちに、自分の中で親が命名してくれた名前を使っていないことへの引っかかりがあることに気付いたんです」と改名の理由を明かす。
改名するにあたって、母親と二人で父が眠る墓前を訪れたという。「父が生きていたら芸能界での活動を反対するだろうと思ったので、そんな世界でお父さんにもらった名前で頑張りたいと報告しました。奈緒という名前で改めて頑張るから応援してくださいと、父に伝えるのと同時に自分にも言い聞かせる形で。自分の中で一つの覚悟ができたような気がしました」。
改名したら運気UP!?朝ドラの役名も…
奈緒の覚悟に父も空から背中を押してくれたのか。改名してすぐに、落選続きだった朝ドラのオーディションに初合格。NHK連続テレビ小説『半分、青い。』(2018年)で得たのはヒロインの親友というネクストブレイク枠。役柄の名前が木田原菜生(なお)というのも意味深だ。
「人によってはタイミング、偶然と言われるかもしれませんが、私としては現在の芸名である“奈緒”に変えたことで、風通しがすごくよくなった感覚があります。父は『たくさんの人に愛されるように』という意味を込めて奈緒という名前を付けてくれたそうです。私も奈緒という名前は氏名であり使命だと思っているので、奈緒で活動する以上、自分が携わった作品が沢山の人に愛されるような役者になりたいという気持ちになりました」と心構えもガラリと変化した。
ときどき下の名前に苗字をつけた改名を行う役者もいる。「確かに太賀さんや瑛太さんが苗字をつけられたときは、芸名が同じ下の名前の者としてハッとしました」と冗談めかしつつ「奈緒!とフランクに呼んでもらいたい気持ちもありますし、字画的にも奈緒は凄くいいそうです。実際に運はいい方だなと思っているので、今のままで十分です」と奈緒という名前がお気に入りだ。
映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(9月10日公開)に出演。奈緒は「台本を読み終わったときに『面白い!』と叫んだくらい面白い。余白も多いので不倫を題材にしてはいるけれど、家族でも観られる内容」とアピール。漫画編集者という役どころだが「かつて私は芸能マネジャーとして活動していたこともあるので、自分の好きなものや人をサポートして周囲からそれが認められる喜びは理解できる。マネジャー時代の感覚がキャラクターの肉付けに役立ちました」と手応えを得ている。