新型コロナ対策は何を目指すかを明確にすべき 「対策」は「目標」によって変わる

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

緊急事態宣言が延長・地域拡大されました。

感染者が急増し、ロックダウン法制整備を求める声なども聞かれますが、果たして今、日本に本当に必要なことは、何でしょうか?

目次
#1 日本は、一体何を目指しているのか?「対策」は「目標」によって変わってくる
#2 臨時の新型コロナ病院の開設が必須。医療スタッフは全国から確保<亡くならせない>
  ・臨時の新型コロナ病院の開設は、都道府県知事の法定された「義務」
  ・他国の例も参考に
  ・酸素ステーションは、あくまでも応急処置
  ・自衛隊医官・看護官、感染の抑えられた地域の医療従事者に来ていただく等
#3 保健所業務を、地域の診療所や民間事業者に委託。診療所による往診・治療。医療機能を強化した宿泊療養施設の拡充等<病状を悪化させない>
  ・自宅療養者を守れるのは、地域の診療所
  ・抗体カクテル療法は、供給量の不足を懸念
#4 危機下においては、危機に応じた対応を<皆の力を結集する>

日本は、一体何を目指しているのか?「対策」は「目標」によって変わってくる

まずもって、「日本は、一体何を目指しているのか?」を明確にするべきです。何を目標とするかによって、取るべき政策や国民に求める行動は、全く変わってきます。そこがはっきりしないまま、緊急事態宣言を繰り返しても、出口も見えず、国民は混乱・疲弊するばかりです。

まず、あれだけ五輪で大騒ぎしておいて、感染爆発・非常時・緊急事態宣言延長となり、「大変だから、みんな我慢して!!」と、あたかも、国民が「自粛をしないから悪い」かのように言われても、正直、多くの方は、「は?・・何それ?」という気持ちになっているのではないでしょうか。

五輪を開催した時点で、国民の心理への影響は確実に有るわけですから、デルタ株の流行もあり、結果、感染が増えるであろうことは、当然予想されたことです。それなのに、コロナ渦が1年8か月経ってなお、医療体制の整備ができていなかったということが、現下の最大の問題なのではないでしょうか。

感染症対策の流れを単純化し、「入口、中間、出口」と考えれば、感染しないようにする(=「入口」の人数を減らす)ことは、国民の努力に期待するところも大きいでしょうが、感染した人を重症化させない、重症者を死なせない(=「中間」と「出口」の被害を減らす)ことは、基本、個人の努力でどうにかなるものではなく、政治と行政が頑張るところです。残念ながら、1年8か月経っても、そこの結果が見えてこない(個々の職員の方が、ものすごく頑張っていることはよく分かっているのですが・・)ことが、日本のコロナ対策の悲しいところ&国民の大きな不信の元なのだと思います。

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そして、必要な方策を決めるための前提となる、最も大切な事が、定まっていないと思います。それは「日本は、一体何を目指しているのか?」ということです。

例えばニュージーランドは、8月17日、国内最大の都市オークランドで、2月以来となる国内での新規感染例が、たった1件報告されたことで、全土で3日間(オークランドは7日間)のロックダウンを、同日深夜に開始すると発表しました。NZは「感染者ゼロ」を目指し、コロナ当初から極めて厳格な国境管理等を行い、繰り返しロックダウンを行ってきました。

一方、感染状況がかなりひどかった欧米は、現在、ある程度の感染者が出ていても、「ピーク時よりはずっとマシ」と受けとめ、かつ、ワクチン接種の進展もあり、感染拡大防止の規制(ロックダウン、マスク着用義務、営業規制等)を緩和していっています。(※規制の再強化が行われる場合もあります。)

これは、どれが正解というよりも、これまでの感染状況や、国民がどこまでを許容するか、といったことを反映した価値判断の違いといえます。それぞれに対して、国内外で賛否両論あります。

では、「日本は、一体何を目指し、そのために何をすべきか?」ということですが、ここまで感染が拡大した中で、仮に法整備をして「ロックダウン」を行ったとしても、ニュージーランドのような状況を実現するのは、難しいでしょう。(一定の感染拡大抑制にはなると思いますが。なお、最近になって、国内の人出が減ってきているのは、感染急増を受けて、一人ひとりが危機意識を持ち、自発的に行動変容した結果であり、政府に何か言われたからではないように思います。)

一方で、欧米のように、規制を緩めて、あそこまでの感染状況を甘受するということも、許容されないでしょう。(ちなみに、「日本の感染状況は、欧米に比較するとかなり少ない」とよく言われますが、所在する東アジア・近隣のオセアニアの先進国と比較すると、残念ながら、かなり悪いと言わざるを得ません。物事は、公正・客観的に論じないと、問題を見誤るという一例だと思います。)

であれば、日本の現実的な目標と対策としては、個々人が、引き続き必要な感染防止策を取りながら、ある程度の社会経済活動をきちんと維持しつつ、ワクチン接種を進め、そして、新型コロナ用病床・医療スタッフを大幅に増やし、重症者・死者を、できる限り出さないようにする、ということになるのではないでしょうか。

以下、そのために何をなすべきか、考えてみます。

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