兵庫県内で今年初めての猛暑日を記録した7月18日。正午を回ったころ、交差点で信号待ちをしていると、雑居ビルの入り口に2人の高齢女性が座り込んでいるのが目に入りました。照り付ける日差しの中、屋根もない場所で、1人は顔が真っ青になり、もう1人は介抱しているようでした。
「どうされましたか」
心配になり声をかけると、午前中から出かけ、帰り道に体調が悪くなったといいます。2人が家族ということを確認し、介抱していた女性の許可を得て、119番に通報しました。司令係員に症状を説明すると、熱中症の疑いがあるからとすぐに駆けつけてくれました。
通報に至るまでに何度か迷いがありました。体調不良を起こした本人は当初「救急車は呼ばなくていい」と言っていたこと。筆者自身も119番するほどの重症度なのかとためらったこと。これからますます高温の日が続き、室内外を問わず熱中症のリスクは高くなります。もし近くで熱中症かもしれない人を見かけたら、どう動けばいいのか調べてみました。
「救急車を呼ぶレベル?」迷ったら…
救急車を呼ぶかどうか迷ったときの解決法がありました。
東京消防庁の公式ツイッターアカウント(@Tokyo_Fire_D)は19日、ツイッターを更新。「こまめに水分を補給し、屋外では強い日差しを避け、屋内では部屋の中を涼しくするなど、熱中症予防を心がけましょう。救急車を呼ぶべきか、病院に行くかどうか迷ったら『#7119』へお電話を」と投稿しました。
総務省消防庁によると、「#7119」は急なケガや病気のとき、救急車を呼ぶかどうか判断に迷ったときに専門家からアドバイスを受けることができる電話相談窓口のこと。電話口では医師や看護師、相談員が応対。症状に合わせて案内をしてくれます。
実施エリアは、都県府内全域は宮城県、茨城県、埼玉県、東京都、新潟県、京都府、大阪府内全市町村、奈良県、鳥取県、山口県、徳島県、福岡県の12地域。道県一部は札幌市(周辺含む)、横浜市、神戸市(周辺含む)、田辺市(周辺含む)、広島市(周辺含む)の5地域(令和2年10月1日現在)。
「熱中症かな?」そんな人を見かけたら…
厚生労働省のホームページでは、熱中症が疑われる人を見かけたときの対処法として、(1)涼しい場所へ(2)体を冷やす(3)水分補給の3つを挙げています。もし自力で水が飲めない、意識がない場合は「すぐに救急車を呼びましょう」。
救急車を呼んだあとは「救急車が到着するまでの間に応急処置を始めましょう。涼しい場所へ避難し、服をゆるめ体を冷やす。氷のう等があれば、首、わきの下、太もものつけ根を集中的に冷やしましょう」。ただし「呼びかけへの反応がない場合は無理に水を飲ませてはいけません」と注意しています。
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冒頭の話に戻ると、通報中の筆者の横をスーツ姿の若い男性が通り過ぎました。すぐに引き返してきた男性の手にはペットボトルが。高齢女性のために自動販売機で買ったばかりの冷えた水を無言で差し出してくれたのです。
もしまた同じような場面に遭遇したら、まわりの人と連携を取って役割分担する。迷わず「#7119」か119番に通報。近くにコンビニなどがあれば氷や冷たい水などを購入する。到着を待つ間は体を冷やす。男性の的確でさりげない厚意は今後の勉強になりました。