マスクを付けて自転車をこいでいたら意識消失!? マスクによる熱中症や頭痛に気をつけて

広畑 千春 広畑 千春

 各地で緊急事態宣言が解除される中、「新しい生活様式」として今後もしばらくマスクは手放せなそうですが、一方でマスクを長時間着けることや、マスクをしたまま激しい運動をして体調を崩す人も相次いでいるよう。文部科学省も21日、学校再開後の体育の授業について、身体へのリスクを考慮し「マスクの着用は必要ない」と通知しましたが、特に体温調節機能が未発達な子どもや、高齢者は注意が必要といいます。着用時に気を付ける点について神戸市内の医院や整体院で聞きました。

マスク内に熱気「隠れ脱水」も...子どもや高齢者は要注意

 神戸市内の女性は先日、マスクを着けたまま自転車で坂道を上っている途中に意識を失って転倒。顔面などを打撲しました。その日の神戸市内は良く晴れ、最高気温も25度を超える夏日に。女性を診察した専門医は「あくまで私見」としつつ、「本来なら呼気が外気により冷やされたり、また冷たい空気を吸えたりしますが、マスクをしているとそれが閉鎖系になり、熱の高い空気を繰り返し吸うことになり、小さな熱中症のような現象になる」と指摘。「マスクしながらジョギングしている人の映像などもよく見ますが、運動すると通常以上の体温と呼気温の上昇があり、さらに頻呼吸で酸素と二酸化炭素濃度がマスク内で低下するのが拍車をかかるのでしょう」と話します。

 また、「ウィルスも通さないような気密性の高いマスクをして運動すればそれが何倍にもなると想定され、結果は火を見るより明らか。運動は距離を保ちながら行い、息が上がらない程度で今は抑えるべき。コンタクトスポーツや体育館で行うものは難しいかもしれません」とも。「特にまだ体温調節機能が発達しておらず体温が上がりやすい子どもや、加齢で体温の上昇に気付きにくい高齢者は要注意」といい、「さらに高齢者はマスクによる隠れ脱水があったとき症状が出やすい傾向もある」と指摘します。

空調は普段より設定温度を低めに

 予防法としては「通気性をよくしすぎると自身の飛沫を防ぐという本来の意味も乏しくなりますから、冷却スプレーをマスク面に塗るとか、今年の夏は空調も、いつものように27度や28度という設定温度より幾分低くして体温の上昇を防ぐとともに、口周辺に過剰な温度がたまらないよう数分おきに口回りの空気を環流させる(その際、マスク外面を持った手で周囲を触らないよう気を付けなければなりませんが)こと」などを挙げます。

 マスクによる頭痛症状を訴える人も増えています。頭痛専門の「神戸本山整体院ぴ~す」(神戸市東灘区)には今月に入り「マスク頭痛」を訴える患者が明らかに増加。「マスク頭痛」について書いたブログには1日約500件以上と、普段の20倍近いアクセスがあるという。平井俊秀院長は「今まで頭痛が出たことのない人で、マスクをし始めて『こめかみが締め付けられるような頭痛』やめまい、立ちくらみ、『頭がぼーっとする』という訴えが相次いでいる」と話します。

マスクによる酸欠も…「『ニヤニヤ』で顔の筋肉を動かして」

 原因としては外出自粛やテレワークの長期化による肩こりや、マスクのゴム自体の締め付けで生じる緊張型頭痛のほか、「性能の高いマスクの場合は二酸化炭素の多い呼気を吸うことが増え脳内が酸欠になり、それを補おうと血管が拡張し、血流や血圧が上がることで『脈動とともにガンガンと痛む』偏頭痛や熱っぽさ、ふらつきやめまいなどの症状が出ることがある」といいます。

 さらに、マスクがずれないよう顔を極力動かさないようにしたり、普段と違う筋肉を使ったりすることや、下向き加減の姿勢を取りがちなことも筋肉が固くなる要因になるといい、「定期的にマスクをずらして深呼吸をし、酸欠を防ぐとともに、こめかみや耳の辺りのマッサージや、「マスクを着けた状態で“ニヤニヤ”して顔の筋肉を意識的に動かす」ことも、「筋肉の緊張を防ぐ効果がある」といいます。

 新規感染者は減ってきているとはいえ、新型コロナとの戦いは長期化も予想されます。「夏マスク」も相次いで商品化されていますが、上手な付き合い方が必要になりそうです。

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