「許斐」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。
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福岡県に多い名字で、これで「このみ」と読む難読名字。福岡県では比較的多いため普通に読まれるが、「許斐」という漢字から「このみ」という読み方には到達しづらく、他県の人はまず読むことができない。
ルーツは宗像市にある地名。宗像市には許斐山という山があり、山頂付近には宗像大社の末社である許斐権現(現在は熊野神社に改称)が鎮座している。
宗像大社の大宮司家である宗像家は、南北朝時代には武士化し、戦国時代には筑前国を代表する大名でもあった。そして、許斐山に許斐岳城を築き、一族の許斐氏備が居城していた。
戦国末期には大友氏に属していたが、やがて大友氏が没落、さらに1586年に第80代当主の氏貞が病死したために宗像氏は滅亡、一族の許斐氏も滅んだ。子孫は周辺で帰農したため、現在も宗像市や鞍手町、直方市などに多い。