仰向けになってバンザイしたかのようなウナギの画像が話題です。「食べちゃいたいくらいかわいい(比喩)」「リアルウナギの寝床w」「お布団かけて寝てるみたい」「腹巻みたい」などと15万人が称賛。暑さが厳しさを増し、今夏の土用の丑の日(7月28日)が近づいていますが、こんな姿を見てしまうと…。
「三度の飯よりアコーディオンが好き」というツイッターユーザーのイワニッコ(@ironmaiden5415)さんが「実家のウナギ かわいくね⁉︎」と投稿した水槽のウナギの画像。パイプから頭を出していますが、なんと仰向け。前びれを立てたり、パイプの端に触れたりしている格好が妙に人間っぽく、休日に居間で寝そべるお父さんのよう。体長に比べ短すぎるパイプが掛け布団にも腹巻にも見えてきます。
14日の投稿後、「ウナギに可愛いって感情抱いたのはじめてw」などと拡散し、15万超のいいねが付きました。イワニッコさんに聞きました。
―ウナギは観賞用ですか、それとも
「もちろんペットです。種類はニホンウナギです」
―名前は
「中学のころ、川遊びしてたときに捕まえてからずっと飼っています。名前はひつまぶしさん、略してひっつーさんです」
―リラックスしているんでしょうか
「魚にはまぶたがないので目は開いたままです。通常は仰向けで休むウナギに近づくと危険を感じてすぐに元に戻りますが、ひっつーさんは人に慣れきっているのか、近づいても仰向けのままです(笑)」
―今回の画像以外にもウナギに関して投稿されていますね
「二ホンウナギは絶滅危惧種で、養殖用種苗の漁獲量も減少傾向です。貴重な資源を大切に利用すべきだなと、一消費者として日頃から感じています。一方で、毎年多くのウナギの蒲焼きのフードロスがあると耳にしています。ウナギ好きの一人として、食べられることなく廃棄される蒲焼が少しでも減ることを願っています」
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「須磨水族園」(兵庫県神戸市)によると、二ホンウナギの成魚は通常、砂の中や岩の割れ目に潜んでいることが多いため、仰向けで無防備な状態をさらすような姿は同園の飼育下ではあまり見ることはないそうです。「養殖場などの環境では、ひっくりかえったものも確認されますが、なぜそのような行動をとるのか、それはリラックスによるものなのか、分かっていません」と同園は話します。
奈良時代の「万葉集」にも夏バテへの効能が記されるなど古くから愛されてきたウナギですが、イワニッコさんが心配するように、二ホンウナギは2013年、絶滅危惧IB類としてレッドリストに掲載されました。
絶滅危惧種は3つのカテゴリがあり、二ホンウナギはアマミノクロウサギ、ライチョウと同様に、「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い」と懸念されています。専門家は、二ホンウナギの消費がウナギが増えるスピードを上回っているとして「食べる量を抑制するとともに、ニホンウナギが健全に成育できる環境を取り戻す必要がある」と主張しています。
当たり前の食材ではない二ホンウナギ、もし今のまま私たちが食べ続けたら…。消費者ができること、考えませんか。