気が散って勉強に集中できない!!あなたのお子さんは視覚優位?聴覚優位?特性に合わせたコツを知ろう!

西村 猛 西村 猛

◆はじめに

子どもに限らず、人には「好きな刺激」と「苦手な刺激」があります。例えば、黒板に爪を立てて、キーっと音を出すと、思わず耳を塞ぎたくなる方もいるでしょう。反面、その音はあまり気にならない、という方もおられると思います。

こういった好き嫌いは、持って生まれたものといってよく、苦手な音を聞き続けたら、いつのまにか好きになった、というようなものではありません。それと同様に、脳の中に入りやすい(認知しやすい)刺激と、入りにくい(認知しにくい)感覚刺激というものもあります。

それには大きく分けて、2つの刺激があります。一つは、目から入る刺激で、視覚刺激といいます。もう一つは、耳から入る刺激で、聴覚刺激といいます。目と耳それぞれの器官から、バランスよく刺激が入る(認識できる)と良いのですが、目からの情報(視覚情報)の方がよく入る状態を「視覚優位」といい、耳からの情報(聴覚情報)の方がよく入る状態を「聴覚優位」といいます。

もし子どもにどちらかに優位性があると、「子どもにも分かりやすい指示の仕方」が変わってきます。今回は、視覚優位のお子さんと、聴覚優位のお子さんのそれぞれの特徴と、上手な関わり方のポイントについて、ご紹介します。

◆視覚優位のお子さんの特徴

視覚優位のお子さんは、目に入ったものが気になる、という傾向があります。例えば、机に向かって勉強していても、視界の端でテレビがついた、家族が動いたなどの視覚刺激が入ると、ついそちらに視線を動かしてしまい、目の前の課題から意識が逸れてしまうことがあります。

◆聴覚優位なお子さんの特徴

一方で、聴覚優位なお子さんの場合は、耳から入った音情報に気が取られる、という傾向があります。例えば、机に向かって勉強していても、誰かが玄関の扉を開けて家に帰ってきた(ドアの開閉の音が聞こえた)、他の部屋でテレビがついた(テレビの音が聞こえた)などの音刺激が入ると、ついそちらに意識が向いてしまい、目の前の課題に集中できなくなることがあります。

このように、視覚、聴覚のどちらが優位であっても、目の前の課題から気持ちが離れしまい、集中出来づらいという問題が起こります。もちろん、これはお子さんの持って生まれた感覚の偏りなので、やる気など気持ちの問題ではありませんので、叱る必要はありません。それよりも、お子さんの感覚の特性に合わせた関わり方をすることで、集中する機会をつくってあげることが出来ます。

◆視覚優位なお子さんを集中させるコツ

集中させたい時には、何よりもまず、視界に入るものが極力ないようにしてあげましょう。

例えば、勉強机は散らかっていませんか?机の上に色々とものが置いてあると、それらのものに意識が移りやすく、集中が途切れやすくなります。そのため、机の上はできるだけものを置かないような工夫が必要です。

また、机の前に、園や学校から持って帰ってきたプリントやメモをたくさん貼っていることはありませんか?机の前の壁も同様です。視覚優位のお子さんは、机の上、机の前、向かっている壁などがシンプルになっていると 課題に集中しやすくなりますので、できるだけシンプルな机(と周囲)になるようにしてあげてください。

◆聴覚優位なお子さんを集中させるコツ

聴覚優位なお子さんを集中させたいときには、音刺激が入らないような環境設定をしてあげましょう。

例えば、無駄にテレビがついていることはありませんか?たとえそれがお隣の部屋のテレビであっても、聴覚優位なお子さんは、その音に集中を邪魔されることがあります。そのため、勉強や課題をしている最中は、テレビを消す(音を消す)、その時に食器を洗うなどの生活音が出ないように気をつけてあげる、など(できる範囲で)協力してあげるようにしましょう。

もし、生活上、音を消したり音を立てないようにすることが出来ない場合は、お子さんに耳栓をさせてあげることで、集中力がぐんと上がることもありますので、一度試してみましょう。

◆まとめ

・人には好きな刺激と苦手な刺激があります。

・刺激の中で、目から入る刺激を「視覚刺激」、耳から入る刺激を「聴覚刺激」と言います。

・お子さんによっては、その刺激に偏りがあることがあり、目からの刺激が入りやすい場合を「視覚優位」といい、耳からの刺激の方が入りやすい場合を「聴覚優位」と呼びます。

・視覚優位なお子さんの場合、目に入ったものに意識が向きがちになるため、課題に向かう時は、机の上を片付けるなど、視覚刺激が極力入らないような工夫をしてあげると良いでしょう。

・聴覚優位なお子さんの場合、耳から入った刺激の意識が向きがちになるため、課題に向かう時は、できるだけ生活音が響かないように配慮してあげる、子どもに耳栓をさせる、などの工夫をすると良いでしょう。

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