小学校のお子さんを持つ保護者の方から、「高学年になって、授業についていけなくなった」などの学習に関するお悩みをご相談いただくことがあります。学習の課題というと「勉強時間の少なさが原因では?」「塾に行かせて学習の底上げを図ったほうがよい?」と、学習そのものへの取り組みをさせることが多いと思います。しかし、高学年になってから目立ってくる学習の遅れには、本人の頑張りや学習時間の問題だけではなく、「目のコントロール力の弱さ」が裏に隠れていることがあります。
今回は、目のコントロール力の弱さが学習の遅れにつながる理由と、日々の活動や遊びの中で目のコントロール力をアップさせる方法についてご紹介します。
(※ここでいう目のコントロール力の弱さとは、「目を使う力」のことであり、「視力」のことではありません)
目のコントロール力の弱さと学習の遅れ
小学校高学年になると、授業のスピードが早くなります。また、先生の板書のスピードが早くなったり、板書の文字が小さくなったりします。
目のコントロール力が弱いお子さんは、板書の字を素早く目で追うことが難しいことがあるため、「板書のスピードについていけない」「ノートと板書を交互に見ることが遅れる」ようになります。こういった少しの遅れが積み重なって、学習が徐々に遅れていくことになります。
学習の遅れが目立ってきた時に、一般的な手立てとしては「学習時間を増やす」「塾に行かせる」など学習の底上げを目指すことが多いと思います。しかし、勉強時間を増やしたり、塾に行かせても学習の底上げが見られない場合は、「目のコントロール力が弱くないか」といったことについて、下記の方法でチェックしてみてください。
「目のコントロール力」チェック法
お子さんに次のような現象が見られる場合、目のコントロール力の弱さがあるかも知れません。
1.ケアレスミスが多い
何度繰り返し勉強しても、いつも「同じところでケアレスミスが起こっている場合」は、ノートの文字などをきちんと目で捉えられないことが考えられます。例えば、算数の繰り上がり問題では、繰り上がりの数字(10の位の横に書く小さな字など)を読み飛ばしているかも知れません。また、本読みで、読み飛ばしが多い場合も、文章がしっかりと目で追えていないことが考えられます。
2.探しものが苦手
机の上に置いている消しゴムをずっと探している、など「探しものが苦手な場合」も目のコントロール力が弱いことも一つの原因として考えられます。
3.指先がかなり不器用
ハサミで直線を切る、折り紙で端と端を合わせて折る、などが「不器用で苦手な場合」も、目でしっかりと対象を見ることができていないことが考えられます。多少の不器用さは誰にでもあることですが、目が上手く使えていないお子さんの場合は、かなり不器用であることが多いです。
4.キャッチボールやサッカーなどの球技が苦手
投げられたボールを目でしっかり追うことができない場合、上手くキャッチできないなどが理由で、「球技が不得手」になっていくことがあります。もちろん初めは誰でも上手くできないものですが、「何度練習してもなかなか上達しない」場合は、目のコントロール力の弱さが原因になっているかも知れません。