「アスリートのうんち」700名分を集めて開発!? 元サッカー日本代表選手が手掛けた注目のプロテイン

松田 義人 松田 義人

 コロナ禍のすごもりによる、運動不足が叫ばれていますが、外出を控えながらダイエットやボディメイクをする人は一定数います。こういった方が効率よく筋肉量を増やし、安定した栄養を得るために「プロテイン」を取り入れる人が増えているようです。

 様々なプロテイン商品がありますが、中でも元サッカー日本代表選手・鈴木啓太さんが、アスリートばかりの「うんち」700名分を集め、腸内研究を重ね、腸内環境を整えながら筋肉を効率よく増やしバランスの良い栄養素を摂取するのに最適なプロテインとして開発したのがAuB MAKEという商品。この開発経緯と、同商品の秘密について鈴木啓太さんに話を聞きました。

うんちを解析することで、80%以上の確率で「対象者の競技」を特定できるようになった!

――鈴木さんはサッカーで活躍された後、腸内環境の解析を目的にAuBという会社を設立されました。この腸内環境の解析にあたっては、28競技700名以上のアスリートのうんちを収集されたと聞いています。

鈴木さん「はい。まず、人間は生まれるまでの胎児の腸内は無菌です。つまり、お母さんのお腹の中にいるときは無菌状態で、産道を通るときに初めて腸内に菌を獲得すると言われています。

 その後、生まれてから母乳を飲んだり食べ物を体内に取り込んでいくにつれて、地上にある菌……常在菌と言われるものですが、その菌を獲得していきます。だいたい3〜5歳くらいまでに、その人の腸内細菌のベースとなるものが出来上がっていくのですが、さらにそこからの生活習慣などによって、腸内細菌のバランスが変わると言われています。

 厳密には一人一人腸内細菌は全く違うのですが、傾向としての『生活習慣の違い』で言うと、たとえばアスリートと一般人では体の作りが違い、さらに競技によっても大きく異なります。こういったデータを解析・収集し、世の中のニーズに合わせたプロテインなどのフードテック商品に反映できると良いなと思い、こういった事業を行っています」

――複数の競技のアスリートからうんちを収集し、解析を行うことで、例えば「サッカー選手の腸内環境の傾向」「ラグビー選手の腸内環境の傾向」というものはわかるのでしょうか。

鈴木さん「我々が持っている腸内環境の解析データをAIに読み込ませて、その分類をした場合、『この便は、サッカー選手のものかどうか』『この便は、ラグビー選手のものかどうか』『この便は、長距離選手のものかどうか』を判別していくと、約80%以上の確率で識別できるようになっています」

――各競技ごとの腸内環境の傾向とは、具体的にはどんなことでしょうか。

鈴木さん「腸内環境の傾向を言葉で言い表すのは難しいですが、例えば、各競技ごと、必要とされる能力が違いますよね。例えばサッカーなら、パワーも必要ですが、持久力を求められます。ラグビーは持久要素もありながら、どちらかと言えば短距離型のパワー系。さらに長距離選手は完全な持久系です。

 このように、スポーツは競技ごとに必要になる体・能力・機能作りが違うのですが、人間って求められることに順応していく生き物で、こうなると体全体はもちろん、腸内もどんどん変わっていくものです。腸内にいる細菌そのものも生き物ですので、どんどん変化していくと……これはあくまでも仮説ですが、このようにして、競技ごとの腸内環境も変わっていくのではないかと考えています」

アスリートの腸の中には、百兆個もの細菌が存在している!?

――そもそもですが、腸内にいる細菌は必ずしも悪いものばかりではないわけですよね。大きく分類すると、善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分けられますが、これらの研究成果をどうプロテインに反映させるのでしょうか。

鈴木さん「おっしゃる通り、人間の腸の中には数百兆個という大量の細菌があり、特にアスリートの腸内細菌は一般の方や、病気疾患をもたれている方に比べて、多様性が高いです。また、腸内細菌が多様、つまりは種類が多いと免疫力が高くなるとも言われています。

 こういったアスリートの便を集め解析し、腸内環境のデータを見て、アスリートが抱える問題解決はもちろんですが、一般の方に対しても、腸内環境の多様性を補えるような商品にし、より良い体作りに反映していただけるよう日々研究を重ねています」

――こういった研究成果が反映されたのがサプリメントの「AuB BASE」、プロテインの「AuB MAKE」という2つの商品ですが、この先も、常時研究結果を反映したアイテムに転じられるように考えていますか?

鈴木さん「もちろんです。ただ、私たちがやっていることは、あくまでも研究ベースです。商品化にあたっては、皆さんが何を課題に感じているかが最優先です。その上で、私たちの腸内環境の研究成果を合わせて、今後も新たなプロダクトを作っていきたいと考えています」

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