日本から遠く離れたスウェーデンで、和菓子作りに励んでいる日本人女性がいます。彼女が運営する販売サイト「Wayougashi Hinata(和洋菓子 日向)」には、色とりどりの練り切りや大福、どら焼きなど、見た目にも美味しそうな和菓子がずらり。スウェーデンの人たちにはあまり馴染みがないようにも思えますが、現地ではどんな風に受け入れられているのでしょうか。
その女性は岡山県倉敷市出身のオーケリンド森山祐子さん。日本にいた頃は有名製パン会社のIT部門や経理部で働くかたわら、和菓子や懐石などの料理の腕を磨いてきました。
スウェーデン移住後、子供を育てながら現地の食材で和菓子を作ってInstagramなどで公開していたところ、友人に誘われてイベントなどで実際に販売もするように。スウェーデン人や在留日本人から大きな反響があったことから、本格的にネットやポップアップストアでの販売を始めたそうです。
――スウェーデンで和菓子を作る上で、どんな工夫をしていますか?
「なるべく日本で作る和菓子と同じ味わい、食感にするため、原材料(粉)などはできるだけ日本のものを使用しています」
「白玉粉、葛粉、上用粉などはこちらで製造されていませんので、日本から取り寄せるか、日本食料品店で買っています。一方、豆(白豆、小豆)はこちらでも売られていますので、なるべく日本で手に入る豆に近いものを吟味して、乾燥豆から炊いて『あん』にしています」
「ラッピングに関しては、スウェーデンでは日本のように丁寧にラッピングする習慣がありませんので、細やかな気遣いのある包装が喜ばれます。こちらに住んでいる日本の方が、日本を思い出して喜んでくださることも多いんですよ」
――いろんな種類の和菓子を作っていますが、どんな商品が人気ですか?
「スウェーデンでは豆は主にスープなどの料理に使いますので、和菓子で使うような甘い豆はあまり受け入れられないように思われます。 ですので、できるだけ豆の形をした粒あんは使わず、こしあんにして使うようにしています」
「あんがメインの練り切りは、スウェーデンの方にはあまり受け入れられない傾向がありますので、 私は中あんを『みかんあん』や『さくらあん』などに変えて、見た目もかわいらしくして少しでも興味を持っていただけるように考えています」
実はスウェーデンのスーパーでは「MOCHIアイス」という商品が売られているため、餅は比較的親しまれているといい、森山さんによると「餅系の大福やういろうなどは受け入れられやすい」そうです。森山さんのサイトでは、他にも苺がメインの苺大福、ドラえもんでもお馴染みのどら焼きなども人気があるとのこと。どら焼きは、抹茶クリームを入れてあまりあんを感じさせないように工夫しているといいます。
最後に、スウェーデンで和菓子を作ることについて、森山さんはこう話してくれました。
「日本の四季を感じ取り、作り手の感覚を存分に発揮した和菓子は、当の日本人をも感動させる奥深い分野だと思います。スウェーデンの人たちだけでなく、日本から駐在、移住されている日本の方に、懐かしい味を通じて故郷を思い出し、喜んでいただくことにも、自分がここで和菓子を作る意義があると感じています」
【Wayougashi Hinata】https://hinata.eu/