「海外のイラストレーターさんと仕事してる。 良いアートが来たら必ずそれを讃えるんだけど、讃えるレパートリーが豊富になってきていて『私の妻が感動してダンスしている』とか『世界中の人が絶対に欲しがる』とか『うちの会社が大きくなってしまう』とか書いてる。 考えるのが楽しくなってきてる。」
横浜中華街でボードゲーム専門店を経営する「ノブイトモカズ(@NobuiR)」さんが投稿した、日本人離れした讃え方が3.7万いいねを集めて話題です。
読んでいるだけで自然と口角が上がってしまうハッピーなツイートに、「めちゃめちゃ素敵!」「絶対自分も相手も楽しい」「うちの会社が大きくなってしまうは声が出ないうれしさ。言われてみたい」「ちょっとこれ学びたい」と、投稿そのものを讃えるコメントが多数集まりました。
こんなに素敵な讃えワード、どうすれば思いつくのでしょうか?ノブイトモカズさんに聞いてみました。
感じたことをそのまま口に出す
――素晴らしい讃え方で、読んでいるこちらが高揚しました!お相手のイラストレーターさんの反応はいかがでしたか?
基本的に、お互い「Great!」「Great!」と言い合っていますからね(笑)。この方は超一流のイラストレーターなのですが、納期は過ぎるものの、こちらの予想を超えるものを仕上げてきてくれる方なのです。私は良いものができるのが一番だと思っているので、「こんなに素晴らしいものができるのなら私は待ちます」と伝え、他の関係者にはこちらで納期について交渉しています。でも、毎回必ずお礼を言ってくれる上に、喜びを伝えると「喜んでくれてよかった!」とすごく反応してくれる。これがあるからまた讃えたくなって、結果的に讃えの応酬になっています。
――讃えが循環するのですね!昔から人を讃えるのは得意だったのですか?
もともと介護施設管理者として働いていたのですが、その会社に「讃える文化」があったことが大きいと思います。素晴らしいなと思うことがあれば、「ダレソレさんの、こういうところがすごいよね」など、みんな口に出し合っていました。人にそんなふうに言ってもらえると、ますますそれをがんばろうと思えるんですよ。良い会社で働けたなと感謝しています。
――逆に、ノブイさんが讃えられた言葉で印象に残っているものはありますか?
韓国のゲーム販売会社の社長さんに、日本で完売したある商品の再販を依頼したら「Wow Wow Wow!! Tomokazu!」というメールをいただいたことがあります。最高だなアンタ、と思いました(笑)。
――人を讃えたいけれど、うまく表現できない…という人も少なくないと思うのです。讃え方のコツがあれば教えてください。
感じたことを「そのまま口に出す」のが良いと思います。ツイートの内容は、ちょっと気が利いたフレーズに感じられるかもしれませんが、言い回しや言葉選びといった技におぼれず、「素晴らしいと思ったことを、素晴らしいとそのまま伝える」ことがベースかな、と。具体的には「いまの話おもしろいね!」といったあたりから口に出してみてはいかがでしょうか。うまく伝えようとしすぎずに、相手に捧げる言葉だと考えればいいと思います。
――「ほめる」とは、また違うのですかね?
「讃える」は、美しいものを「美しい」、素晴らしいことを「素晴らしい」と素直に伝えることだと思うので、自然や宇宙に対しての感想に近いイメージです。讃えることができる人が増えたら、きっと世の中って楽しくなると思いますよ。足を引っ張る人が多い世の中だからこそ、物理的に見える、聞こえる形の応援はしていかなくちゃ、と思っています。
――ツイートの反響も大きかったですね。
実感がわかないです。ただ、「讃え下手」「受け取り下手」な人が多いのかなと感じました。讃えられて素直に喜ぶ人が増えれば、讃える人も増えるはず。そうして、これが自然と文化になっていったら素敵ですね。
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讃えることでまわりの人を元気にしているノブイトモカズさんは、横浜中華街のすぐそばでボードゲーム専門店「リゴレ」を運営されています。定番からマニアックなものまで約400種類のゲームがそろうリゴレは、店内のプレイスペース(有料)で実際にゲームで遊ぶことも可能。讃え下手さんでもきっと元気になれちゃうお店なので、興味のある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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