2年ぶりに開催されているセンバツ大会。甲子園には全国から選手が集まってくるため、見たことがない名字の選手も多い。1回戦が終わり、全出場校が試合を行ったところで、実際に試合に出場した選手の中から1文字の珍しい名字の選手を見てみよう。
まずは、天理高校の達孝太選手。193cmの長身から投げおろす本格派で、今年秋のドラフト指名候補でもある。本来なら下級生のときから話題になるはずだったが、昨年は全国大会がなく、今春やっと全国デビューした。剛腕なだけではなくイケメンで、プロに入れば人気の出そうな選手だ。
因みに、名字の読みは「たつ」。達選手は大阪の出身だが名字のルーツは石川県で、七尾市に集中している。他県では「たち」「だる」などとも読む。
同校の4番は瀬千皓選手。読み方文字通り「せ」である。関西や北陸にある名字で、瀬選手は地元奈良県の出身。「瀬」は川の流れの速い場所を指す言葉だ。漢字1文字の名字はたくさんあるが、読みも1文字というものは少ない。
初出場、長崎県の大崎高校の捕手は調(しらべ)祐李選手。4番を打ち、福岡大大濠高戦では敗れたものの、2本のヒットを放った。「調」は福岡県と長崎県にある名字で、調選手は佐世保市の出身。日野中学時代には全国大会にも出場している。ルーツは古く、古代豪族に調氏という一族があった。「つき」と読み、税金の一つである調(ちょう)の管理をしていたとみられる。
大分県の明豊高校の遊撃手は2番を打つ幸修也選手。「幸」という名字はいろいろな読み方がある。最も多いのが大分県に集中している「ゆき」で、全国を合計しても9割以上が「ゆき」である。続いて多いのが、奄美大島を中心に鹿児島県の南西諸島に集中している「幸」で「みゆき」と読む。さらに徳之島や東京などには「こう」と読む名字もある。幸修也選手は大分県別府市の出身なので、読み方は「ゆき」。名字ランキングでは3000位以内で、メジャーな名字の範囲内だ。
下関国際高校には守(もり)優雅捕手がいる。守りの要の捕手としてぴったりの名字だ。「守」は宮城県や千葉県、福岡県などに多く、こちらも4000位以内で普通の名字といえる。守優雅選手は福岡県の出身。「守」も古代からみられるもので、665年に遣唐使として派遣された守大石(もりのおおいわ)という人物がいた。景行天皇の皇子大碓皇子の末裔と伝えている氏族だ。この他、「森」から漢字を変えた一族も多そうだ。