掛け紙には富士山を望む伊豆半島の西岸をバックに、版画調のマダイが波と共に描かれている。鯛めしと名の付く駅弁は数あれど、どこのものより、そぼろのきめが細かくて、粉末の鯛そぼろふりかけが醤油ご飯の上に掛かっている感じでうまい。副菜にもヒメダイの西京焼きが入るなど、鯛をぜいたくに使った弁当に仕上がっている。
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醤油で炊いたご飯の上に、パウダー状のヒメダイ、マダイなどの鯛そぼろがぎっしり敷き詰められ全体の3分の2を占めている。ご飯との相性抜群でうまい。
残り3分の1のスペースを斜め半分に仕切り、外側のおかずゾーンにはヒメダイの西京焼き、鶏つくね、黒はんぺんの青のり揚げとしば漬けが入って豪華なことこの上なし。
内側には静岡名物のわさび漬けにわらび餅!名前がよく似ているのに、全く正反対なジャンル、味なのが面白く、わさび漬けにお好みで掛ける醤油のふたまでもが緑で統一されていることに、遊び心があって思わず吹き出してしまった。先割れスプーンがここに同居する。
西京焼きは薄味で皮までおいしく、黒はんぺんの青のり揚げは磯の香りを感じる。鶏つくねは中まで味の染みた柔らかい仕上げだ。
わさび漬けを開封すると吟醸酒の香りが漂い、醤油を付けて食べるとピリリと一瞬辛さが走るのが心地良い。静岡県の駅弁らしさを感じる瞬間だ。
しば漬けは箸休めと色合いの良さを担っていて歯応えもばっちり。
わらび餅はデザートにちょうどいい大きさだ。
800円。東海道本線・三島駅「桃中軒」TEL055・963・0154