「いてくれるだけで幸せ」サビ猫2代目店長がいるまちの不動産屋さん 2歳半で突然死した初代を引き継ぐ

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

 福岡県行橋市のJR新田原駅から徒歩すぐのところにある「不動産工房ゆくはし株式会社」は、土地や建物、相続のことなどを気軽に相談できる〝町の不動産屋さん〟。代表の岡本公美恵さん(49)と、不動産関連の電子書籍を多数出版している夫の朗さん(58)夫婦の飼い猫でサビ柄の「わさび」(メス、1歳)は、昨年(2020年)突然死した初代店長「さんたろにゃん」(オス、2歳半で没)の後を継ぎ、2代目店長として活躍中だ。わさびは「おとなしかった初代とは対照的なやんちゃ娘」だそう。公美恵さんに話を聞いた。

 公美恵さん 店内だけでなく、店のインスタグラムでも人気だったキジ白の初代猫店長・さんたろにゃんは、店の床下に迷い込んで鳴いていたところを助け出した子。私にとって初めて飼った猫でした。お客さんがやってくると体をスリスリして出迎え、とても人なつこい子だったんですよ。「さんたろにゃんに会いたくて」とわざわざ店に立ち寄ってくださるファンもいたほどでした。

 けれど、別れは突然やってきました。それまで全く気づかなかったのですが、生まれつき心臓が悪かったようで、昨年2月29日、4年に一度しかない閏年のその日、朝はいつもどおり元気だったのに、突然心臓が動かなくなって…。虹の橋を渡りました。私はしばらくショックで仕事も手につかず、心の整理もままならない状態が続きました。そんなとき、猫好きの夫が「悲しみを乗り越えてほしい」と、保護猫活動をしているお客さんから譲り受けてきたのが、わさびです。

 やってきたのは昨年4月半ば。ちょうど1度目の緊急事態宣言が出て間もないころでした。5匹の赤ちゃんの中の1匹で一番小さく、生まれてすぐ母猫と引き離された子だそうです。ここへきたときは生後1ヶ月半くらい。サビ柄なので「わさび」と名付けました。成長するにつれ、胴体がシュッと長くなっていきました。

 さんたろにゃんは、動物病院の先生から「こんなに優しい猫は見たことない」と言われるほど、おっとりとして、おとなしい子でした。今から思えば、体が弱かったために、あまり動きたくなかったのかもしれません。

 一方、わさびはというと、さんたろにゃんとは正反対。やんちゃ娘で、店内を駆け回り、間仕切りの間をジャンプしたり、コップの水をこぼしてパソコンのキーボードを壊してしまったり。細身ながら、まるでチーターみたいに俊敏です。

 当初はさんたろにゃんのように店長がちゃんと務まるか、ドキドキしていたんですけど、わさびは好奇心旺盛で、お客さまがやってくると興味津々、駆け寄っていき、じゃれることが多いです。飽きるとすぐ奥の方へ行ってしまいますが、そこがまた猫らしいところ。2代目店長として、さんたろにゃんとは違った魅力を感じてもらえればと願っているところです。

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