ここ数年、若い世代の方々が中古レコードを買いに来られることが多くなりました。アナログレコードの魅力って、僕は〝めんどくさいこと〟にあると思ってます。演奏が半分終わったら裏返しにせんといかんし、埃がついたら拭かんといかんし、プレーヤーの針が減ったら交換せんといかん。そうしためんどくさい作業のひとつひとつが、アナログの音色とともに心に刻まれていくというか。たとえていえば、手がかかる子どもほどかわいいみたいな、そんな感じかな。デジタルの音と違って、アナログの音って「かわいがりたい」って思っちゃうんですよね。
コロナ禍で、出張時に地方の中古レコード店を回って掘り出し物を見つけるのを楽しみにして来られる方、海外から買い付けに来られる方がゼロになってしまいましたが、一方、家で過ごす時間が長くなり、「この機会にアナログレコードを聴いてみようか」という方が増えました。コロナ禍で店は大変ですが、これがひとつのきっかけとなって、中古レコードの魅力が見直され、ファンが増えるのは嬉しいかぎりです。
おしょうゆはもうすぐ５歳。毎年５月の誕生日には特製オリジナル缶バッジを作って、お客さんに差し上げています。あの大地震から今年の４月でもう５年。月日が経つのは早いですね。辛かったこと、大変だったこと、もっとこうすればよかったと思ったことなども、だんだんと忘れていきがちですが、僕にとってはおしょうゆがやって来たときなので、震災の記憶を忘れることはありません。
おしょうゆの写真をSNSによくアップしているので、ファンは多いですよ。音楽好きで猫好きの人はもちろん、音楽はそれほどでもないけど猫は大好きという人とか。「おしょうゆに会いにきたんだけど、何も買わずに帰るのは悪いから１枚買う」という人も（笑）。ここでおしょうゆと接したことがきっかけで、保護猫を譲り受け、「私も飼い始めました」という方も、結構おられます。
おしょうゆがいることで、いろんな世代の人たちと話が盛り上がるのが、なにより嬉しいです。この子は尻尾の先が直角に曲っていて「鍵しっぽ」なんですよ。だから、幸運をたくさんひっかけてきてくれているんだと思います。（まいどなニュース特約 西松宏）
【店名】「Beginners Records(ビギナーズレコード)」
【住所】熊本市中央区九品寺2-8-25 久原ビル1F
【ホームページ】http://www.begireco.com
