私の友人は、現在未婚の母として2人の子どもを育てています。
彼女は元から未婚の母を望んでいたわけではありません。彼女は職場で知り合った彼とお付き合いしていました。彼との間に1人目の子を授かり、彼女はもちろん結婚をして家庭を築くものだと思っていました。
しかし、彼からその言葉をかけられることはありませんでした。彼は過去に自己破産をしていたようで、「いわゆるペナルティ期間がまだ終わっておらず、迷惑をかけたくないから籍は入れられない」と言われたそうです。結局、籍を入れることなく事実婚の状態を選択し、自己破産のペナルティ期間が明けたら籍を入れるという話でまとまりました。
1人目の子を出産し、あわただしいながらも楽しい毎日を過ごしていました。彼は出張や転勤が多い仕事でなかなか家にいることはありませんでしたが、彼女は好きな人と子どもとの生活に満足していました。
2人目の妊娠が発覚 そこで彼から打ち明けられた真実
子どもが1歳になるころ、2人目の妊娠が発覚。彼女は妊娠を望んでいたこともあり、すぐに彼に報告しました。もちろん一緒に喜んでくれるだろうと思っていましたが、彼の口から出た言葉は彼女にとって予想だにしていないものでした。
「おろしてほしい」
彼の一言に彼女は目の前が真っ白になりました。「実は家庭があって、上の子と同い年の子がいるんだ。だから、結婚することもできない。これ以上、誰も不幸にならないためにも、おろしてほしい」と言われたのです。
彼女は、この話を機に彼との関係を終わりにしました。その後のことをどうするか彼女は大変悩んだそうです。しかし、大人の都合で勝手なことをしたくないという思いが強く、彼女は未婚の母として子どもを育てていくことを決意しました。現在子どもは、4歳と3歳になり、苦労することも多いようですが、家族3人で楽しい日々を過ごしています。
増加する未婚シングルマザー
近年、未婚の母として子どもを育てている人は多く、2015年の国勢調査では、母子世帯(母と未成年の子からなる世帯)の未婚率は、約11万人となっており、母子家庭の15%、7人に1人が未婚のシングルマザーということがわりました。1995年の調査では、約2万人でしたが、この20年間で5倍近くの増加となっています。
未婚のシングルマザー世帯は、地域によって差も生まれており、東京・大阪・沖縄では2割を超えています。東京では24.4%で、母子世帯の4人に1人が未婚のシングルマザーです。
未婚のシングルマザーが増加傾向にあることを踏まえて、2020(令和2)年分以後の所得税に対して、これまで受けることのできなかった、寡婦控除を受けることができるようになりました。未婚の場合、父親が認知しない限り子の父親と認められることはありません。そのため、出産という物理的に証明をすることができる女性が、未婚の母として子どもを育てていくというケースが多くあります。さまざまな事情があったり、やむを得ず未婚の母となる人もいるかもしれません。それでも、日々未婚のシングルマザーとして、子どもを一生懸命育てています。そのような、未婚のシングルマザーでも子育てがしやすい環境や制度が少しでも整っていくことを願うばかりです。