これは私の友人Aさんの話です。Aさんは中学校・小学校・保育園に通う子ども3人がいる5人家族です。年下の旦那さんとは共通の友人を通して知り合い、数年後に結婚しました。旦那さんはやさしそうな人で、Aさんは年上女房としてとてもしっかりしていてバランスの取れた夫婦のように見えていました。しかし、内情は異なっていたようです。
それって経済的DVじゃ…
数年ぶりのある日、Aさんに会うと彼女はとても疲れた顔をしていて、思わず「一体何があったの!?」と言った私に、Aさんは悩みを打ち明けてくれました。
聞くと、私たちが会ってなかった期間にAさんは生活がなかなか安定しないことを悩んでいたそうです。
Aさんは子どもたちを食べさせていくためにパートで収入を得ていましたが、3人の子どもたちにかかる費用はパートの収入だけでまかなえるわけもなく、とても生活が苦しいとのことでした。
「旦那さんは?働いてないの?」と疑問に思ったことを聞くと、なんとAさんの旦那さんは職が長続きせず転職を繰り返しており、たびたび無職になってしまうとのこと。そのこともあり世帯の収入がなかなか安定しないのだそうです。
さらに、働いてるときの収入は生活費としてAさんに渡さず、すべて自分の小遣いとしてしまうというのです!
「自分の稼いだ分は自分で使う」という考えの旦那さんに私は驚くばかり。
Aさんが心配になり、「ねえ、それって経済的DVじゃないの?」と私が言うと、彼女は「まだまだ遊びたいのかもね。仕方がないよ。足りない分は私が働けばいいし」と半ば諦めたような顔で言いましたが、Aさんの表情が寂しげに見えたこともあり、私はなんだか納得がいきませんでした。
「生活は家族みんなでしているんだよ?一人だけ頑張ってもAさんが倒れちゃうよ。もしそうなったら、子どもたちだって大変だよ。一度旦那さんとちゃんと話し合ってみたらどうかな?」
それでもダメなら、行政の相談機関を利用するのも一つの方法だよ、とアドバイスをしてその日は別れました。
一人で解決できない場合は第三者へ相談
DV(ドメスティックバイオレンス)は配偶者やパートナーからの「身体的(暴力)」が広く認識されていますが、実はそれだけではありません。この他に「経済的(生活費を入れない・仕事の制限)」「精神的(罵倒・ケータイチェック)」「社会的(隔離・外出制限)」「性的(性行為の強要・避妊の不可)」などさまざまな種類があります。
このようなDVは誰しもに起こりうる可能性があり、「自分が我慢すればいい」と思って行動を取らずにいると、いつのまにか取り返しががつかない事態になってしまうこともあります。
そうなる前に、相手ときちんと話し合う。それが困難な場合は行政や無料相談ダイヤルなどを利用して第三者へ相談してみましょう。いま、配偶者やパートナーからのDVで悩んでいる人は一人で抱え込まず、まずは行政などの第三者に相談をしてほしいと思います。
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Aさんは後日、旦那さんの両親を交えて話し合いをしたものの、旦那さんと意見が対立し話し合いは決裂。行政に相談をし、現在は実家に子どもたちを連れて戻り、離婚に向けて協議中だそうです。