厚生労働省の『平成30(2018)年人口動態統計の年間推移』によると、離婚件数は20万7000組だそうです。同じく婚姻件数は59万組ということから、3組に1組以上が離婚している計算になります。また最高裁判所の『平成29(2017)年度 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所』によると、離婚理由のトップは男女ともに「性格が合わない」ということ。誰しもが「幸せになろうね」と誓って結婚をしたはずなのに、生活を共にしていくなかで価値観の違いに気づいたり、ボタンの掛け違いが起こったりするのでしょう。
その他の理由として男性の5位、女性の10位にあがる「家族親族と折り合いが悪い」という理由のように、親族間の問題に頭を抱えている人も多いです。私の友人は義母からの嫌がらせを経験しました。その体験をご報告します。
次男に嫁ぐ…最初は円満な嫁姑関係だった
現在はシングルマザーとして、立派に子育てをしている私の友人は、かつて旦那さんの暴力や浮気などで悩んでいた過去があります。離婚の原因となった旦那さんの話は当時聞いていたのですが、実は嫁ぎ先の義両親とも問題があったことを話してくれました。
◇ ◇
彼女の旦那さんの実家は、地方の山間にあり、義両親は農業で生計を立てていたそうです。
旦那さんと彼女が結婚した当初、長男に結婚の気配はなく、実家で義両親と共に暮らし、本業の傍ら家業の手伝いもしていました。
実家をしっかり守ってくれている頼もしい長男のおかげで、次男である旦那さんは制約なく自由に仕事を選ぶことができていたし、彼女も次男の嫁なら気楽なものかなと思っていたそうです。
ですが、家業が忙しいときには応援を頼まれ、彼女も嫁としてできることは頑張りたいと義実家で農作業の手伝いをすることもあったそうで、不慣れながらも新鮮な体験を楽しんでいました。
長男の結婚により義母の本性が露わに
その後、長男に結婚話が浮上し、まだお嫁さんに会ったことのない彼女がお義母さんに「楽しみですね!どんな方ですか?」と尋ねたところ、少し意味ありげに返されたそうです。
「いい子よ~ほんとにいい子!兄ちゃんの奥さんは、ほんといい子でかわいいわよ~」と、「兄ちゃんの奥さんは」と強調した言い方をしていたようで、彼女と差を付けたいお義母さんの思惑がかすかに感じられました。
長男夫婦の結婚の段取りが進むにつれ、義実家界隈は盛り上がりを増し、彼女と旦那さんが結婚したときとは雲泥の差がある結納や結婚式の盛大な規模に、さすがに長男の結婚ともなるとすごいなー!と素直に驚いたそうです。
しかし彼女は、差があって当然と思っていたので、そこは気にもせず祝福の気持ちでいたようですが、お義母さんの含みをもった発言はあからさまに増えていく一方だったそうです。
◇ ◇
彼女から聞いたお義母さんのいじわるな言動はこんな感じでした。
▽結婚式にて長男の嫁がウェディングドレス姿で登場した際
「次男のときは大したことないねと思ったけど、えらいきれいやね~!驚いた!」
「長男のほうが見る目があるのよね~」と発言。
…確かに素敵なお嫁さんだったそうですが、もしそんなことを言われたら、私だったら自信を失くしてしまいそうです。
▽法事で親戚が大勢集まる宴会の席
それぞれの嫁が作った料理をチェックして「こっち(長男の嫁作)は美味しいけど、こっち(彼女作)はあんまりやね」と発言
…ちなみに彼女の料理は、親戚からは評判だったそうですよ。
▽遠い親戚に紹介されたとき
「この子が長男の嫁ちゃんで、あれが次男の嫁!」と発言。
…「ちゃん」はなくてもいいですが、さすがに「あれ」呼ばわりは嫌ですよね。
▽夕ごはんを終え、家族団らんでゆっくりしていたとき
「次男の嫁は片付け担当よ!普段(長男の嫁の名前)ちゃんは忙しくしてるから休ませてあげないと!」と命令。
…家族の楽しい笑い声を遠くに聞きながら、命ぜられた役目を果たしたそうです。
◇ ◇
親戚の中には、そういったお義母さんの発言に気付いて慰めてくれる人もいたそうですが、いわく「長男の嫁」はやはり昔から別格なのだそうです。
都会育ちで垢ぬけた彼女より、化粧っ気のない素朴な印象である長男の嫁のほうが好感がもてたのかもしれません。
義母のいじわるは孫が生まれてからも続き…
それから間もなくして、長男夫婦と次男夫婦は、ほぼ同じタイミングで妊娠がわかりました。いくら長男嫁がかわいかったとしても、さすがに孫ができれば義母も変わるだろうと思っていた彼女ですが…。
▽彼女が妊娠中、体重管理に悩んでいるとき
「太りすぎだよ。(長男の嫁)ちゃんはその点しっかり管理ができてて優秀よ~」と発言。
…比較されたこと自体がショックなのに、「太りすぎ」とはっきり言われたことにも傷ついたとそうです。
▽先に出産した長男の嫁は安産だったのに対し、彼女が難産だったとき
「(長男の嫁)ちゃんはすんなり産んだのに、あなたは大げさに騒いで~」と発言。
…お産が軽いかどうかは人それぞれです。彼女は構ってほしくて、わざと大変なふりをしていたわけじゃないのに…。
◇ ◇
他には、母乳がなかなか出ないことや、離乳食の進め方、発育のよさ、手がかかるかどうか。なにかにつけ比較してはいじわるなことを言われていたのだそうです。
決定的な出来事で家族関係に亀裂
義母の度重なるいじわるにさすがにモヤモヤしだした頃、決定的な出来事が起こります。それは孫の初誕生祝いでのことでした。
彼女は旦那さんと考えて、義両親を旅行がてら自宅へ招き、お祝いをしてから一緒に温泉旅行へでかけるという計画を立てました。
その話に義両親がとても喜んでくれたので、彼女も嬉しく思い、入念に旅行の計画を練り、張り切ってお祝い会の準備したそうです。
いよいよ、お祝い会の当日。義両親の到着に備えて、朝早くからたくさんのご馳走を作って待っていました。しかし、到着予定の昼を過ぎてもなかなか連絡がありません。
心配して何度か電話をしてようやく繋がったとき、なにかあったのかと尋ねても「もうすぐ着くから心配するな」と言われてしまい、しかたなく到着の連絡を待ち続けたそうです。
夜になりようやく到着した義両親に、用意していた料理を出して、遅くなってしまったけれどお祝い会を始めましょうと言うと「すぐそこのうどん屋で食べてきたし、明日温泉で美味しいものいっぱい食べるから余計なものはいらんよ」と。子どものお祝いのためにいい一日にしようと思い準備をしていたのに、なにも言わずに食事を済ませてきた上、「余計なもの」なんて。彼女はいままでで一番大きなショックを受けました。
笑顔で食事を片付けたものの、義両親の心ない言動に思わず涙が出てしまった彼女。
彼女の涙を見て、お義母さんは「体調が悪いなら旅行には行かないほうがいい」と強引に彼女を諭し、結局彼女と子どもは旅行へは行かず留守番をすることになり、旦那と義両親だけの親子旅行となったそうです。
◇ ◇
その後、彼女は旦那さんの暴力や浮気で悩む日々を送りますが、義両親に相談できるはずもなく、結局慰謝料も養育費ももらえぬまま離婚したのでした。
彼女は「旦那さんともいじわるなお義母さんとも縁が切れてよかった」と健気に語っていましたが、話を聞いた私は我慢強い彼女の人柄を知っているだけに、私に話してくれた以上のつらい経験をしたのだろうと憤りを感じました。
離婚には家庭それぞれの事情があるのは当然ですが、彼女が経験したような義母からの嫌がらせはいつの時代も後を絶ちません。せめて自分はそんな義母のような姑にはならないでおこうと心に誓った出来事でした。