「タケとバンブー」。一見同じように見える植物同士ですが、実は違いがあるという植物園の案内板がツイッターで先日、話題になりました。タケ(竹)を和英辞典で調べると「bamboo(バンブー)」、同じように英和辞典で「bamboo」を調べると「竹」と書かれています。門松にも使われるタケですが、何がどう違うのか。案内板のある京都府立植物園(京都市左京区)の樹木医に聞きました。
話題になったのは府立植物園の北東部にある竹笹園の案内板です。2012年に当時の職員が設置しました。
樹木医で府立植物園の中井貞・樹木係長(50)によると、タケとバンブーでは分類学上、「属」が異なるといいます。サクラとウメくらいの違いがあるそうです。
タケとして代表的なのはマダケやモウソウチク、ハチクといった種類です。日本で一般的にタケノコとして食べられているのはこうしたタケが多いそうです。
一方、バンブーは熱帯性のタケの仲間を指します。タケの育つエリアより温暖な東南アジアなどの地域に分布していることが多く、府立植物園ではホウライチクやスホウチクといった種類のバンブーを見ることができます。
タケとバンブーの最も大きな違いは、その増え方にあると中井さんは言います。
タケは地下茎を使って比較的離れた場所に芽を出しタケノコとなって増えていきます。一方、バンブーは地下茎を使わず、根の部分から新たな芽が出てタケノコとなり増殖します。
こうしてタケは比較的生育面積を広げていきやすいのに対し、バンブーは1カ所に密集して生育します。このため、府立植物園ではタケとバンブーで根元を見ると違いが分かるといいます。タケは一定の面積のみの生育とするため、根元にコンクリートの枠が設けられています。しかし、バンブーの根元にはこうした枠がなく、成長に連れ土盛り状になっていくといいます。
中井さんは「そういえば、最近『タケとバンブー』の案内板を見ている人がいると思っていました。タケやバンブーに興味を持ってくれる人が増えればうれしいです」と話します。