鬼といえば「鬼滅」もいいけど「約ネバ」もね! 六本木ヒルズで記念展開幕…都心を見下ろす『ママ』を見よ

北村 泰介 北村 泰介

 2016年から週刊少年ジャンプで連載され、今年6月に完結した人気漫画「約束のネバーランド」(通称・約ネバ)の初展覧会「連載完結記念 約束のネバーランド展」が11日、都内の「六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー」で開幕した。会場から現場の様子をリポートする。

 「約ネバ」(原作・白井カイウ、作画・出水ぽすか)は単行本のシリーズ累計発行部数が2500万部を突破。同じく今年で連載が終了した「鬼滅の刃」と共に週刊少年ジャンプの大ヒット作となった。アニメ化を経て、18日からは実写版映画も公開される。

 週刊少年ジャンプ(1968年創刊)の連載作といえば、「ハレンチ学園」「ど根性ガエル」「トイレット博士」「アストロ球団」「侍ジャイアンツ」「プレイボール」「こちら葛飾区亀有公園前派出所」などに触れ、80年代前半に江口寿史氏の「ストップ!!ひばりくん!」をお目当てに読んだのを最後に縁遠くなった記者だが、「キン肉マン」「北斗の拳」「キャプテン翼」「ドラゴンボール」「SLAM DUNK」など、一般層への知名度も高い記念碑的な作品を輩出してきたと認識している。コロナ禍に見舞われた今年は「鬼滅の刃」が社会現象となったが、同時期に連載された「約ネバ」も「鬼」というキーワードで共通する。

 「約ネバ」は、主人公・エマを中心に孤児院で育った子供たちが過酷な運命に抗いながら希望に向かっていく…というスト―リー。孤児院というのは表向きで、実は「鬼」が人間を食料として飼育する「グレイス=フィールド(GF)ハウス」という農園だった。真実を知った子どもたちが農園から脱出し、その後も戦いを繰り広げる姿が心理戦やサスペンス、アクションを交えて描かれ、その一方で人間を食べない鬼との絆なども絡めながら、壮大な物語が展開されていく。

 会場に足を踏み入れた。エントランスの展望窓上部には高さ約6メートル、横幅約17メートルにわたって、コミックスの表紙イラスト20枚が並ぶ。教会のステンドグラスのようで、日没後、ライトアップされると幻想的なシーンが広がる。

 なにしろ、会場は六本木ヒルズ森タワーの52階である。窓際に立つと足がすくむ、ガラス張りの展望台から東京都心の風景がパノラマとなって迫ってくるのだが、東京タワーなどの絶景を背景にした好位置に置かれた女性キャラクターのパネルに目が留まった。担当スタッフは「イザベラです。ファンの間では『ママ』と呼ばれているキャラクターです」と説明。重要な役割を担うGFハウスのシスターで、映画では北川景子が演じる。

 さらに会場を進むと、物語に沿った「GFハウスからの脱出」から「新しい世界へ」までの8エリアで150点以上の名場面やカラーイラスト、精巧に作られた「鬼の面」などを展示。ネームの実物や連載前の設定資料など作品制作の裏側を知る展示品もある。

 その一方、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻となる中、同展に限ったことではないが、マスク着用、検温、手の消毒、ソーシャルディスタンス、会話は控えめに…など、当然ながら、感染予防と拡散防止に配慮されている。

 記者が同会場を訪れたのは昨年10-11月に開催された音楽家・細野晴臣氏のデビュー50周年記念展「細野観光」以来。当時はコロナ禍が世界を覆う前であり、会場には外国人客も多く、複数の言語が飛び交っていたことを覚えている。わずか1年前なのに、今思えば、あの頃がはるか遠い昔の別世界に感じた。隔世の感に浸りながら、人との距離を取り、息を潜めて鑑賞した。

 閑話休題。ファン垂涎のイベント、体調やマナーに配慮して楽しみたい。主催者側は「数々の名シーンを展示し、魅了にどっぷりハマることができる展覧会です」とPR。関連グッズや期間限定カフェのメニューも充実している。東京の会期は来年1月11日まで。同3月17日-4月5日には大阪・梅田の大丸ミュージアムで開催予定だ。

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