「10トンのB品野菜、ネット販売で農家さんを応援」北海道は規模が大きい分、廃棄の量も桁違い…若い八百屋さんの挑戦

太田 浩子 太田 浩子

 東京や埼玉に「菜根たん」という八百屋3店舗をかまえる三浦大輝さん(25)のツイートが話題になっています。

「野菜の規格外品でも欲しいという方はいますか?北海道は規模が大きい分、廃棄の量も桁違い…😭 この農家さんはこれから規格選別をすると約10トンのB品が廃棄になっていまうと聞きました。B品野菜セットにして『RT数×1キロ』分をネット販売で応援したいと思います!ご協力いただければ嬉しいです!!🙇‍♂️」

(三浦大輝/八百屋菜根たん👨‍🌾(@yasai_md)さん)

 24日に投稿されたこのツイートに、「購入希望します RTいたしました。」「協力したいです。」と27日現在3万リツイートされています。10トンも捨てられちゃうの?とびっくりしてしまいますが、私たちが普段購入している野菜は、そうやって厳しく選別されたものだということを知って欲しいと三浦さんは話します。

 三浦さんは、雪が降る前の最後の収穫で忙しい11月16日に、北海道で人参の収穫を手伝いました。広大な畑で「人参ハーベスター」という機械が人参を次々と掘り出します。ベルトコンベヤーで運ばれた人参がカゴに入る前に、大きすぎたり割れていたりするものは畑に投げられるそう。つぎに冷蔵の保管庫に入れる前の選別で、等級などを分けられ、さらにはじかれた人参も畑にまかれてしまいます。それが10トン?と思いきや、それらの人参は雪に埋もれていずれ土にかえるのだそう。今回販売するB品野菜10トンは、そのあとの機械の選別で出るであろう量だと言います。

 もちろん、これは北海道の広い畑だからこその量です。およそ100トンの保管庫の野菜の中の10トン。規格外野菜はジュースなどの加工品や動物のエサなどにも利用されますが、使えても数百キロで、本来の仕事が忙しく手も回らない上に置いておく場所もありません。三浦さんは「せっかく作付けして面倒を見た野菜が捨てられるなんて、食べられるのにもったいない。ご家庭なら気にしない方もいるし、新しい流通として農家と消費者をつなげたい」と考えました。

 三浦さんは農業とは関係のない家庭で育ちました。仙台で東日本大震災を経験し、家は全壊だったそう。この頃、放射能汚染の心配から初めて野菜の産地を確認するようになり、そこで野菜を作る農家さんのことを考えます。「農業ってどんな世界なんだろうと興味を持ったのがきっかけでした」。高校卒業後、大学入学前に1年間九州で農家を点々としながら現場作業を体験させてもらい、農業のおもしろさやとれたての野菜のおいしさ、味わい深さを感じます。

「農業の世界で自分の力が出せたら嬉しいなと思いました。仕入れをして野菜を買うことができるし、消費者に直接農家さんの想いを伝えることができるのは八百屋かな?と」、2019年10月に設立した会社は、直営店舗での販売のほか、保育園給食や百貨店などへの卸もおこなっています。販売する野菜の9割は、47都道府県すべてにいる知り合いの農家さんから直接仕入れたものだそう。

 実は、コロナで取引のある飲食店などが営業自粛になって苦しくなった農家を助けようと、4月からすでに10回ほどフードレスキューをおこなっています。今回のツイートの反響に驚きつつ「B品こそ正義と思っているわけじゃない。たまにこういうものが出てきたときに、B品を買って応援しようかっていう人がちょっとでも増えると世の中のバランスって良くなるんじゃないかな。ちょっと曲がっていても味は変わらないと分かったうえで、それぞれが選んでもらえたら。今回のツイートはそのファーストステップなのかなと思っています」。

 B品野菜のオンライン販売は11月27日の20時からの予定です。ジャガイモや玉ネギ、人参などの日持ちがよい定番野菜のほか、少し変わった野菜も入り、5キロ箱と10キロ箱の2つが用意されます。野菜は北海道から直接届き、送料込みの価格も安く設定されるそう。販売サイトへのリンクは、三浦さんのツイートで発表されるのでチェックしてください。

■三浦大輝/八百屋菜根たん👨‍🌾(@yasai_md)Twitter https://twitter.com/yasai_md

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