銘入りの高級和包丁と使い古した洋包丁…両者の切れ味の歴然とした違いがSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのは絵を描くのがご趣味というSNSユーザー、アキポさんの「先日買った宗近の切れ味凄まじいんだけど手前が今まで使ってた包丁。これスベスベすぎて味染み込まないのでは…。ボロボロの指ですまん。」という画像付きの投稿。
奈良の有名包丁メーカー、三條小鍛治宗近の一枚鋼の包丁とこれまで使っていた包丁で人参を切り比べてみたところ、前者の断面が磨いた大理石のようにスベスベであるのに比べ、後者の断面はガタガタ。あまりに違うその切れ味に、SNSユーザー達からは「切った場所をくっつけたらそのまま癒着しそう」「そうゆう包丁で玉ねぎを切ると成分が飛び散らないので目が痛くならないとか、昔アキバの露店の包丁屋が言ってました」など数々の驚きのコメントが寄せられている。
今回の投稿についてアキポさんにお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):新しい包丁、古い包丁を使いくらべてみた際のご感想をあらためてお聞かせください。
アキポ:古い包丁の切り口はあまりにもガタガタですね。言い訳しますと20年も使い続けてる洋包丁でして、やはり素人が研いでいるので切れ味は悪くなる一方でした。硬い野菜を切るときは力を入れて一気にバリバリッと割り切るような感覚になっていました。
一方、新しい包丁は力を入れなくてもスッと刃が入っていって思わず笑ってしまいました。三條小鍛冶宗近さんの一枚鋼の文化包丁を購入したのですが、店主さんがいろいろ説明くださり、使い勝手の良さと丈夫さでこれに決めました。本当に買ってよかったと満足しています。
中将:新しい包丁でお料理されて味の違い、調理のしやすさの違いなどありましたでしょうか?
アキポ:とにかくよく切れて断面がまっ平らで、オレンジなどを切っても果汁が飛び散ったりぼとぼと落ちたりしないんです。根菜も写真の通りつるっつるになって、煮込んでも全く型崩れしなくて驚きました。仕上がりも、素材の味が逃げてないと言いますか「こんなに濃い味の野菜だっけ?」と感じるほどでした。
中将:大反響へのご感想をお聞かせください。
アキポ:「こんなに切れる包丁だよ!」と友達に見せるつもりで写真をツイートしただけなので、指は荒れまくってるし写真はブレてるしでこんなに大勢の方の目に触れることになってとても恥ずかしいです。
リプの中には同じ包丁を持つ方や研ぎ方を教えてくださる方、「そんな見え方が…」と面白い方向から感想をくださる方が多くてとても楽しかったです。一度お店に足を運んで職人さんのお話を聞いていただきたいと思いました。同じ包丁でも材質によってこんなに違いがあるのかと驚くことばかりです。
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アキポさんからダイス状に切った人参の画像を見せていただいたが、こちらも見事なスベスベの断面。
これだけ綺麗に切れると、スープに入れて煮込んでも角が全く欠けず、煮崩れしなかったということだ。
日本刀以来の歴史を持ち、大変奥深い和包丁の世界。ご興味のある方はぜひ三條小鍛治宗近はじめ各地の名店のホームページや店舗などチェックされていただきたい。