米西部カリフォルニア州ではここ数週間、過去最大級の焼失面積を記録する山火事の被害が広がっています。火の手はワインの産地ナパバレーのぶどう園にまで及ぶほど。煙が空に立ち込め、空気の悪い日が続く中、飼い主とはぐれたペットや逃げ遅れた野生動物を助けるボランティア団体の活動が各メディアで取り上げられています。
この度、サンフランシスコを中心にアニマルレスキューを行う「フライング テール(Flying Tails)」の代表、ケン・ウェインさんに活動の内容について伺いました。
―まずは活動の目的を教えてください。
「フライング テール」の目的はアニマルレスキューの意識を広めることです。活動を開始したばかりのころは「動物保護の問題は大きすぎる。自分一人が犬や猫をレスキューしたところで何も変わりはしない」と思っていました。
しかし、活動を続けていると、動物たちは人間を頼りにしている、自分は必要とされていると切実に感じるようになりました。動物と人間の絆には感銘を受けます。
「1匹の動物を助けても世界は変わらない。でもその動物にとっては、かけがえのないことである」。どこかで聞いたことがあるこの言葉を、いつも心に刻んでいます。
―本業はテレビ局のアナウンサーとお聞きしました。週末には自家用ジェットで動物の救助活動をされてますね。「フライング テール」の始まりは?
妻のキャロルと友人の自家用ジェットでメキシコのバハ・カリフォルニアを訪れた際に、ダート滑走路に着陸すると1匹の野良犬が近づいてきたんです。妻も私もその犬に一目惚れしてしまい、保護することに。その犬は愛犬のマンゴーでいまでは「フライング テール」のアイコン的存在です。この出会いがきっかけで、自家用ジェットでアニマルレスキューをすれば、趣味のフライトと仕事のジャーナリズムをミックスできると気づいたんです。
―レスキュー活動もさることながらカリフォルニア州の美しい景色もビデオに収められています。
リアルなレスキューストーリーを語れるようにジェット機内と機外にカメラを取り付けました。今では8つのカメラと360度カメラも設置しているので、どの角度でも撮影ができますよ。
―これまで、どのような動物をレスキューしてきましたか?中には変わった動物もいますか?
クマの赤ちゃんを移動したのはおもしろい経験でした。冬眠するには幼すぎる2匹のクマの赤ちゃんを、北カリフォルニアのレイクタホから温かい南カリフォルニアへ連れて行きました。レイクタホへ戻る必要があったクマの子がいたので、帰りはその1匹を乗せてフライト。飛行時間はトータル9時間ほどで、とても長いレスキューでしたね。
その他にはアザラシの子やウミガメ、つい先日には小さなヤギをロサンゼルスからサンフランシスコへ運びましたよ。
―カリフォルニアでは山火事が相次いでいます。火災時のレスキューにも参加されますか?
山火事の現場はスムーズに空中消火ができるように空域が閉鎖されます。山火事の近くを飛行したことは何度もありますが、煙で視界不良になり、操縦に困難をきたすことがあるので注意が必要です。最近ではサンフランシスコ周辺で山火事が発生しているので、救助に参加することになるでしょう。
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山火事が迫る中「ペットを連れて行けないなら避難しない」と口にする住民がほとんどだそうです。飼い主にとって、動物はそれほど大切な存在なのでしょう。
その一方で、このような状況下では特に安全なフライトを願わずにはいられません。「フライング テール」のビデオやケンさんの活動の様子は、随時ソーシャルメディアで更新されています。
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