相次ぐ閉店の中…あえてフクロウカフェを立ち上げた女性オーナーの心意気

山本 智行 山本 智行

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で観光業やサービス業は大きな打撃を受けており、インバウンドを中心に賑わっていたフクロウカフェも全国的に存続の危機に陥っている。そんな中、ファミリー層をターゲットに7月1日、オープンした猛禽類カフェ「ラプターランド シャベル」(大阪市浪速区)が孤軍奮闘中だ。なぜ、こんな時期に開店したのだろうか?美人オーナーに聞いてみた。

 オーナーの神麻裕美さんには2歳の娘さんがいて、12月には2人目が誕生する。それだけでも大変そうなのに、この7月1日、なんばエリアにフクロウやタカなどに触れ合える猛禽類カフェをオープンした。

 「動物と人をつなげるカフェのような場所を作るというのが中学生のときからの夢でした。子育ては大変ですが、自分もスタッフも子育てをしながら大好きな動物と触れ合える良さもあります。コロナで予定より2カ月ずれ込みましたが、迷うことなく、そのまま突っ走りました」

 店内は78平方メートルで、天井も高めで広々とした印象だ。その中にユニークな表情をした大小様々なフクロウやミミズク、勇ましそうなタカなどの猛禽類14羽が飼育されている。

 「コロナの影響で大阪市内でも閉店したお店もあり、行き場を失ったフクロウも何羽かここにいますよ。大切な命ですから」

 ファミリー層を意識したとあって、キッズスペースを備えているのが大きな特徴。ジャングルジムやおもちゃも置かれ、トイレは清潔でおむつを替えるスペースも用意されていた。また保育士の資格を持つスタッフもおり、子ども連れのママさんには心強いのではないか。

 オーナーの神麻さんは大の動物好き。小学校のころにアヒルを飼ったのが始まりで、高校卒業後は動物の専門学校へ。その後はバードショーのトレーナーやペットシッター、フクロウカフェの店長なども経験。その間には山梨県で乗馬場に勤務したこともある。現在、自宅でネコを3匹飼っているそうだが、これは山梨で保護したものだ。

 「本当はフクロウとネコがいて、子どもたちも一緒に楽しめる場所を作りたかった。そこまで広い場所は無理でしたが、将来的には保護猫活動にも力を入れていきたいです」

 現在、お店での1番人気はモリフクロウの「モリオ」だそう。実際の性別は分からないそうだが、このモリオ君、眠気を誘うような表情を見せたかと思えば、渋柿を食べたような顔をするなど愛きょうたっぷり。おどけた感じのメンフクロウの羽根の柔らかさにも癒やされ、気がつけば1時間以上も長居してしまった。

 このカフェでは販売もしており、安いもので10万円。最も高いのはタカの仲間のワシノスリで一般家庭で飼える最大級とあって120万円だそうだ。ありがたいことに時間制限はなく、利用料は大人1500円、1歳以上小学生以下1000円で、ドリンク1杯、エサやり体験、腕乗せ体験、写真撮影などの中からいずれかを選択できる。追加の場合は1つにつき300円。肩&腕ダブル乗せの裏メニュー(500円)も用意している。

 店名の「ラプター」は猛禽類を表し、いまは亡き祖母が営んでいたスナック名「シャベル」を組み合わせた。「わたしはおばあちゃん子でしたし、お店が繁盛していたので、店を開くときはこの名前にしようと決めていました」

 現在はツメやクチバシを手入れする出張サービスや体調管理のアドバイスも行っているが、今後はイベントへの参加にも力を入れていくという。

 「最近はご年配のカップルも増えています。ゆったりとした気持ちになれると思うので、ぜひ、癒やされに来てください」

◇猛禽類カフェ「ラプターランド シャベル」(大阪市浪速区幸町1)
電話06(7172)7939(予約は行っていません)
営業時間は11時~18時。定休日は不定休。

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