会社という場所は、さまざまな感情が積み重なっている場所でもあります。そんな職場で起きたゾクッとする体験談を描いた漫画『同僚のK』(作:大友しゅうまさん)がSNSで話題となっています。
それは、今から5年前のことです。主人公の女性が勤める職場には、Kという40代男性の同僚がいました。Kは人柄は良いものの気が弱く、周囲から仕事を押し付けられることが多かったのです。デスクの上には常に大量の書類が積み上がり、いつも仕事に追われていました。
そんなある日、女性が残業を終えてふと振り返ると、そこにはKの姿がありました。どこか話しかけづらい空気を感じた女性は、そのまま帰ろうとします。そして部屋を出る直前に何気なく振り返った女性は、Kと目が合いました。
その目には光がなく、まるで底の見えない穴のように真っ黒だったそうです。その瞬間、女性は「あ、この人はもうダメだ」と直感したと語ります。
それから数カ月後、Kは自ら命を絶ちました。社員が亡くなったにもかかわらず、会社は何事もなかったかのように動き続けていたそうです。しかし葬儀を終えて数日後、社内で不可解な出来事が起こり始めます。
なんと、突然社内放送が入ったかと思うと、無言のまま切れるという現象が毎日のように続いたのです。社内では、「Kの呪いだ」と不気味がる声もあがるようになりました。
それが2週間ほど続いたある日のこと。いつものように放送が流れた瞬間、スピーカーから「おおおおおお……」という不気味な音が響いたのです。それはすきま風のようにも、男のうめき声のようにも聞こえ、社内の空気は一気にざわつきました。女性は今でも、あの唸り声がKのものにしか思えないと語ります。
読者からは「仕事を押し付けられた悔しさをみんなに知って欲しかったのかな」や「心が死んでいく描写がリアル」などの声があがっています。そんな同作について作者の大友しゅうまさんに話を聞きました。
Kさんの周囲に手を差し伸べてくれる人がいなかった
―同作を漫画として描こうと思われたきっかけを教えてください。
残業続きで心身ともに追い詰められていくKさんが本当に痛々しく、強く印象に残ったからです。作中では最悪の選択へと向かってしまいますが、実際にも仕事による過度なストレスで苦しんでいる人は少なくありません。
そうした現実にも起こり得る怖さがこの体験談にはあり、それを漫画として描きたいと思いました。
―Kさんという人物像を表現するうえで、特に意識されたことがあれば教えてください。
特に目の表現にはこだわりました。こちらを見ているはずなのに、どこか焦点が合っていないような虚ろな目。髪や肌の質感も含めて、生気が少しずつ失われていくような雰囲気を意識しています。
投稿者さんが感じた「この人、もう限界かもしれない」という不安が伝わるように描きました。
―同作を通して、読者に伝えたいことを教えてください。
もし仕事に追い詰められて苦しんでいる人がいるなら、こうなる前に逃げるという選択肢も持ってほしいと思います。また、この話がやるせないのは、Kさんの周囲に手を差し伸べてくれる人がいなかったことです。
だからこそ、自分自身も、限界そうな人を見かけたら見て見ぬふりをするのではなく、一言でも声をかけられる人でありたいと思いました。
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