元敏腕編集者がプロデュース「角川食堂」 出版社直営レストランで、社員80人が作ったカレー爆誕

山本 明 山本 明

先月8月3日、埼玉・所沢に異色の社員食堂が開店しました。店名は「角川食堂」。一般客も利用できるといい、新鮮な地元食材を使った定食やカレーの写真をSNSにアップする人もいます。実はこちら、大手出版社・KADOKAWAの直営レストラン。同社の元編集者・津々見潤子さんがプロデュースする「KADOKAWAらしい味」とはどんな味なのか聞きました。

レストランは同社が運営するイベントスペースやホテル、新オフィスや書籍製造・物流工場も備えた大型複合施設「ところざわサクラタウン」内にあります。施設全体は今秋11月にオープン予定ですが、「角川食堂」は8月から先行オープンしています。

同店を仕掛ける津々見さんは2002年に入社。編集者としては、ミステリの大御所エラリー・クイーンの新訳シリーズを手掛けたことで知られています。海外古典に新しい息吹を吹き込んだ手腕は、レストラン経営でどのように活かされているのでしょうか。

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――開店の経緯を教えてください。

わが社は職業柄、不規則な生活を送っている社員も多かったので(笑)、「社員食堂をプロデュースしてみないか」と打診があった際、一日一回でも美味しく健康的な食事ができる場を作れたらみんな嬉しいかな、と思ったんです。もともと食べることが好きだったこともあり、引き受けることにしました。

――それがなぜ一般利用もできることに?

所沢はもともと東京へ野菜などの食材を供給してきた土地柄です。江戸時代から続く優良な農家も多数ありました。この地で根付き、受け入れてもらうために、地元食材の可能性を最大限引き出す料理を作り、食べてもらえる「開かれた食堂」にしよう、と決定しました。

――求めた味は?

わが社はクリエイティブな人材が多いだけにこだわりの強い社員が大勢います。例えば「角川食堂カレー」は社内イントラで、食堂で出すカレー制作のための有志を募ると、あっという間に80人が集まりました。

一からスパイスを調合し、試作品を重ねて皆が納得する味にたどり着きました。カルダモンやターメリックなど数種類を独自配合したオリジナルのガラムマサラ(ミックススパイス)です。

――既製品のカレー粉ではない、と。

わたし達にとって「料理」は、「小説」「映画」「アニメ」などと同じ、わが社が提供するコンテンツの一つ。自分たちの「好き」をとことん追求して「愛するもの(作品)」を世に提供し、それで人を驚かせたいし喜ばせたい。それが「KADOKAWAらしさ」なんだと思います。

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また今後の展望については「現在はコロナ禍のため平日夕方17時までの縮小営業中。でもゆくゆくは夜も営業して美味しい地ビールや地ワインを提供したいし、土日営業も実現させたいですね」(津々見さん)と意欲を語ってくれました。

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