7月の豪雨で流された?須磨海岸で白木の位牌見つかる…清掃中の車いすユーザーら「ご遺族の元に戻せたら」

広畑 千春 広畑 千春

 全国的に厳しい残暑になった29日、兵庫県神戸市の須磨海岸や神奈川県の湘南海岸など全国11カ所のビーチで、車いすユーザーらが企画したクリーン活動が一斉に行われた。各地の活動をオンラインでつなぐ初の試み。プラスチックや花火のゴミに混じり、白木の位牌も見つかった。

 クリーン活動は、車いすユーザーらで作るNPO法人「須磨ユニバーサルビーチプロジェクト」が全国の仲間に呼び掛け、企画。11ビーチで約230人が参加した。

 代表の木戸俊介さんは、交通事故で脊髄損傷を負い、車いすに。だが「やりたいことを諦めたくない」と、3年前から須磨海岸で仲間たちと波打ち際までビーチマットを敷き、障害者やその家族、友人や一般参加の市民らも一緒に水遊びを楽しんだり、水陸両用の車いすを体験したりする活動を始めた。現在では「出張ビーチマット」として全国の仲間とつながり、活動を広げ、一般社団法人国際ユニバーサルデザイン協会(IAUD)の「国際ユニバーサルデザイン賞」ソーシャル部門金賞を受賞した。

 コロナ禍の今年は、全国の主だった海水浴場が閉鎖され、須磨でも海水浴は禁止に。ビーチプロジェクト自体はできなくなったが、代わりに「心と海は繋がっている」をキャッチフレーズに、テレビ会議アプリを利用して各地をつなぐ企画を発案。「やろうと思えば今まででもできたかもしれないが、コロナ禍の今だからこそ皆の気持ちが一つになった」と話す。

 

 この日は、午前9時に開始し、車いすユーザーを含む約30人がビニール袋やトングを手に浜辺へ。そんな中で見つかったのが、白木の位牌だった。

 波打ち際に流れ着いていたといい、見つけた男性は「一目で、位牌だと分かった。なんでこんな所に…。もしかしたら豪雨の被災地から流されたのかも、と思うと…。できればご遺族に届けたいんですが、どちらの方かも分からず…」と話す。

 位牌は白木で、女性の故人に贈られる「大姉」の戒名が書かれていた。女性は今年3月、100歳で亡くなったと記されていた。

 「7月に清掃活動をしたときには、豪雨で流されたとみられる流木やゴミが浜辺にいっぱい打ち上げられていた。今日もプラスチック製のゴミ箱の残骸などが見つかったし…」と木戸さん。位牌は交番に届けたという。心当たりがある方は、須磨警察署(078-731-0110)へ。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース