日本大学ラグビー部で元ヘッドコーチ(HC)の40代男性が部員の頭につまようじを刺すなどの暴行を繰り返し、この男性は「一身上の都合」で辞任したものの、事実が公になって社会問題化したことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は7日、当サイトの取材に対し、学生側が被害届を出せば、暴行罪、傷害罪、脅迫罪などの刑事事件に相当すると指摘した。
元HCの男性は昨年4~5月に寮内で未成年の部員に飲酒を強要したり、昨年8月の合宿ではバーベキュー時に熱いヘラを体に押しつけたほか、耳や肩にかみつき、頭を蹴る行為もあったという。昨年11月には焼肉店で、つまようじを7本、1人の部員の頭に突き刺し、そのショッキングな画像が今回の報道で公開された。また、昨年5月に飲酒強要の事実が部外に漏れた際には、部員に対して「チクったやつ殺してー」「友達のヤクザに犯人捜させようかな」「家族も追い込む」といったラインを送っていたことも画面と共に報じられた。
ラグビー部の第三者委員会が調査した結果、こうした暴行の事実が認定されたが、今年3月に本人から一身上の都合による辞任の申し出があり、大学側が受け入れて自主退職となり、懲戒処分には至らなかった。
小川氏は「つまようじでも凶器になりえます。公にされた写真を見ると、頭に結構な本数を刺しているので暴行罪には100%なります。負傷していれば、熱いへらを体に押し付けるのと同様に傷害罪にもなります。また、未成年に飲酒させた後、LINEで『自分にはヤクザの友達がいる』などといった内容を送り付けており、これは脅迫罪になります。飲酒を無理にさせることも強要罪です」と説明した。
とはいえ、いずれも「警察に被害届を出せば」という条件付きとなる。
小川氏は「被害に遭った学生が警察に申告するかどうかによります。被害届が出れば、警察は捜査に着手し、元ヘッドコーチも事情聴取される」とした上で、「元ヘッドコーチは事件が表ざたになることを察知したのか、大学側が事前に伝えたのかは分かりませんが、自主退職したことで、ことを終わらせしようとしたのもしれません。今回は学生の声で明らかになりましたが、大学側の隠蔽体質は否めない」と根本にある問題点を指摘した。