「どうしたらいいですか?」 窓を開けたら、産気づいた猫がアパートの部屋に入ってきた

渡辺 陽 渡辺 陽

アパートの一室に入ってきた猫が出産

埼玉県に住む後藤さんは、4匹の保護猫を飼っている。後藤さんの妹も2匹の猫を飼う猫好き兄妹だ。後藤さんがロンドちゃんという4匹目の猫を迎えた頃、後藤さんの妹は、ある猫の保護団体の手伝いをするようになっていた。団体のホームページを作ったり、問い合わせの対応をしたりしていたという。

猫を保護してくださいという依頼もあれば、TNRの相談もあった。2019年4月10日、後藤さんの家の近くのアパートの住人から団体に相談メールが届いた。「家の外に何匹かの猫が来ているのを知っていたが、うるさく鳴いていることがあった。気になって窓を開けたら、1匹の猫が部屋の中に入ってきて産気づいた。どうしたらいいのでしょうか」という問い合わせだった。

里親宅の子供が猫アレルギーを発症、出戻ってきた子猫

後藤さんの家からアパートまで50mくらい。後藤さんは翌日、様子を見に行った。無事出産していたが、アパートなので室内で飼うことはできず、相談者は屋外に簡易的な小屋を作って保護していた。中には子猫が4匹いた。

「3週間くらいそのまま様子を見てもらっていたのですが、管理会社から連絡があり『どうにかできないか』と相談されたんです。私も4匹猫を飼っていたので、すぐに家の中に入れることはできず、雨風をしのげるウッドデッキにケージを置いて保護しました。検便やウイルス検査、駆虫が済んでからケージごと家の中に入れました」(後藤さん)

子猫たちの里親は、団体と手分けして探した。全員里親が決まったが、1匹は残念ながら戻ってくることになった。

「トライアル先のご家庭には2歳のお子さんがいたんですが、子猫が来てから猫アレルギーを発症したんです。結構症状がひどいと聞いたので、すぐに引き取りました。猫を返してもらいに行くと、奥さんは泣いていました。その時、お子さんは寝ていたのですが、後になって『にゃんにゃんは?』と言って猫を探していたそうです」

誰の子かなんて関係ない

後藤さんの母が、「またこの子の里親を探して、譲渡して、また何かあって返されたら嫌だな」と言ったので、子猫は後藤さんが飼うことにした。5匹目の猫はレントくんと名付けた。

後藤さんは、3匹目の猫ルカちゃんを迎えた時に、これ以上猫は飼わないと決めていたのが、4匹目にロンドちゃんを迎え、今回、図らずも5匹目を迎えることになった。

これで終わりかと思ったがそうはいかなかった。レントくんの母猫の里親は、「実家の母の体調が悪くなり、一時的に入院することになった」と連絡してきてから連絡が取りづらくなった。心配した後藤さんの母が、「無責任な人だわ。嫌だから、うちで飼おう」と言いだし、後藤さんは6匹目の猫を迎えることになった。名前はライムちゃんにした。

「ロンドもレントもライムも、猫を飼おうと思っていたわけではなく、まったく予定外のことでした」

ライムちゃんを迎えた頃、保護団体にへその緒がついている幼齢の子猫が保護された。ライムちゃんはまだ母乳が出ていたので、10日ほど母猫の代わりに母乳を与えた。理由は分からないが、ライムちゃんは誰の子であろうと分け隔てしない母性のある猫だった。

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