一度はあきらめた猫との縁が再びつながり、最愛の猫との暮らしが始まった

渡辺 陽 渡辺 陽

東京都に住む後藤さん夫妻は、ペットを飼おうと思い探していた。特に猫を探していたわけではないが、保護団体にいる可愛い子猫を見つけた。しかし、その猫は既に譲渡先が決まっていて縁がなかったとあきらめた。ところが、巡り巡って子猫は後藤さんのところにやってきた。

 

ペットを飼いたい

2018年9月上旬、東京都内の住宅地で4匹の子猫が産まれた。母猫は野良猫で、エサやりのボランティアにごはんをもらって生きていた。個人の人なのかボランティアかは分からないが、子猫たちを保護した人がいて、2匹は既に亡くなっていたという。

まだ息のあった2匹の子猫が保護されて、保護団体の「ねりまねこ」のところへ連れてこられた。

東京都練馬区に住んでいる後藤さんは、当初、猫を飼うつもりはなかった。ただ、ペットを飼いたいと思い、うさぎや小鳥など、飼いやすそうな動物をペットショップに見て回っていた。夫婦ともに実家では犬を飼っていたことがあるが、猫を飼ったことはなかった。

「練馬区に16年前から住んでいるのですが、昔に比べて野良猫が減ってきて、静かな町になってきました。それは猫の保護活動をしている人がいるからだとネットで知って、猫をペットショップで買うのに抵抗を感じるようになったのです。ちょうどその頃、近所でねりまねこさんの譲渡会があることが知りました」

ティティちゃんとの縁

ねりまねこのサイトを見ると、目が大きくて可愛い子猫が掲載されていた。その子がティティちゃんだった。奥さんは、ティティちゃんにひとめぼれした。11月、夫妻はティティちゃんに会うために、ねりまねこの譲渡会に行ってみた。しかし、ティティちゃんは譲渡会には参加していなかった。

「どうしたのかと思ったら、ティティはまだ小さすぎて譲渡会に出せなかったのです。ほかにもたくさん可愛い猫がいたのですが、ティティのことが忘れられませんでした。その後、どうしてもティティのことが気になって、ねりまねこさんに電話をしました。でも、先にティティに声をかけた人がいて、そこに行くことが決まっていたんです。うちは、夫が自宅で仕事をしているので留守にすることが少なく、ペットを飼育する条件は整っていたのですが、その時は縁がなかったのだと思いました」

ところが12月、ねりまねこさんから「ティティちゃんの里親さんが猫アレルギーになり飼えなくなった、いかがですか」と連絡があった。

夫妻は、面談のため再びねりまねこを訪れた。ティティちゃんは、一緒に保護された妹と一緒にいた。妹のほうはティティちゃんの半分くらいの大きさしかなかったが、肩に乗ってきたり、すごい勢いでなめてきたりした。一方、ティティちゃんはケージの隅っこで固まっていて、後藤さんは、「うちに迎えてなれてくれるのか、大丈夫かな」と、少し心配した。 

「最初縁がなかったとあきらめたので、もう一度縁があってよかったなと思いました。2匹もらってほしいと言われたのですが、初めて猫を飼うのと、家の大きさも考えてティティだけもらうことにしました。妹も無事、別の人のところに行ったそうです」

練馬区は広いが、偶然、ティティちゃんたちが保護されたのが、後藤さんたちが暮らす町の隣町だったことにも縁を感じたという。

夜鳴きに悩む

12月22日、ティティちゃんは後藤さんに正式に譲渡された。当日、奥様は仕事に行っていたので、ご主人は、ひとりで緊張してティティちゃんの到着を待っていた。ティティちゃんも“イカ耳”になって緊張していた。

「最初は大人しい子だからうまくいくと思ったのですが、夜鳴きがひどくて、まったく眠れなくなったんです。近づくとシャーシャー威嚇してきて、『人は怖い、でも寂しい』という感じで、どうしていいのか分からなくなりました」

ティティちゃんが来た日か翌日の夜、あまりにも鳴いて眠れないので、ご主人はティティちゃんをなんとか抱きかかえ、外に出た。しんしんと冷え込む夜半、3時間くらい膝の上に抱いていると、ティティちゃんは鳴きやみ、そのまま一緒に布団に入ると寝てくれた。

日が経つにつれ家での生活にはなれてきたようだったが、夜鳴きだけは続いた。ねりまねこに相談すると、「ケージに覆いを被せて放っておいてください」と言う。ケージから出すとケーブルなどいろんなものを噛んだので、夜中は外に出せなかった。

夫妻は、どうして寝たらいいんだろうと悩んでいたが、一カ月ほど経つと鳴きやんだ。ケーブルを噛むのもやめたので、夜中外に出すと、足元や布団の中で寝るようになった。

後藤さんは、「ティティちゃんがいない生活は考えられない」という。「ティティだけでなく、猫そのものを愛するようになって驚いています。強いて言えば犬派でしたし。いまは、インスタの猫も気になるんです」ひざの上に乗ってきたり、べたべたしないくせにちょこんとそばにいたりするのが嬉しいそうだ。

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