「県をまたぐ移動」、「県をまたがない移動」、「県はまたがない移動」を比較した地図がTwitter上で大きな話題になっている。
件の地図を投稿したのは岡山県にお住まいのたかなさん(@TaKaNa_211)。
地図にあるように岡山県から山口県に行くには、広島県をまたぐ必要があるが、岡山県から香川県に行く場合は海をまたぐだけ。また兵庫県から滋賀県に行くには京都府をまたぐが県はまたがないというわけだ。
まるで一休さんのようなユニークなとんちだが、こういった投稿が話題になるのはやはり新型コロナウイルス流行にともなう移動制限の呼びかけや国土交通省による「Go To Travelキャンペーン」で騒がしい世相を反映してのことだろう。
コロナ下の現代ほど都道府県という行政区分を強く意識することはない。都道府県同士が感染対策を巡っていがみあい、住民間も「コロナをうつされまいか」と疑心暗鬼……さながら戦国時代のような惨状になってしまっているわけだが、そもそも他県に対する意識は住んでいる地域によって大きく異なると思う。
僕は奈良県奈良市出身だが、中学、高校は大阪府の私立に通っていた。遊びに行くのも大阪や京都の繁華街。電車に乗れば30分~40分くらいで行くことができた。今は兵庫県神戸市在住だが、会社の事務所は大阪府大阪市に置いている。行政区分こそ違うが、距離はもちろん経済的にも文化的にもごく近しいエリアなので、往き来することが日常的なのだ。こういった感覚はおそらく首都圏や関西圏に住む人でないと理解し難いのではないだろうか。
行政区分は生活圏や経済圏とは異なるのに、それを無視して一律に都道府県間の移動を制限するという日本の行政のやり方はいかがなものかと思う。また、民間も行政のずさんなやり方に振り回され過ぎてはいまいか。少し前に大阪府と兵庫県という同じ町内のように近しい府県の首長たちがコロナ対策を巡っていがみあったり、徳島県等で他県ナンバーの自動車を駆逐しようという輩があらわれるという問題があったが、そのあたりまさに現代の日本らしい愚の骨頂と思えてならなかった。
これからのウィズコロナ期は感染を抑えつつも経済を振興させるという難しい駆け引きが行政、民間共に迫られる。果たして今のような状態でそれが成し遂げられるのか不安でならない。