ボランティアの家に捨てられていた雑種の子犬、ドッグトレーナーの里親のもとでセラピードッグになる

渡辺 陽 渡辺 陽

マルルくんは、香川県の保護団体のボランティアの家に兄弟と一緒に捨てられていた。まだ子犬だった。その頃、京都府に住む海老名さんは、一緒に活動していたセラピードッグの後を継いでくれる犬を探していて、ちょっとしたことには動じないマルルくんに出会った。

 

民家の庭先に捨てられていた子犬たち

2015年2月13日、香川県の保護団体「アニマルスマイル香川」でボランティアをしている人の家の敷地に子犬が捨てられていた。ダンボール箱には、兄弟と思われる子犬が2匹入っていた。ボランティアの家だと知ったうえで置き去りにしたのかもしれない。2歳半くらいだった。

子犬たちは誰かに飼われていたようで、被毛もきれいで、元気いっぱいだったという。

2匹は間もなく譲渡サイトに掲載された。

京都府に住む海老名さんは、ニライくんというセラピードッグを飼っていた。ニライくんが9歳になり、引退を考えるようになったので、後を継いでくれる犬を探していた。

当初、2匹目に迎えたカナイくんを2代目にしようと思っていた。しかし、カナイくんは警戒心が強く、セラピードッグには不向きだった。普通のペットとして飼うことにしたという。

先住犬との相性がいい子を選ぶ

譲渡サイトに掲載された2匹の子犬が海老名さんの目に留まった。2匹のうちの1匹にピンとくるものがあったので、アニマルスマイル香川に連絡したという。

「もしセラピードッグの適性がなければどうしますかと聞かれたのですが、適正がなくても愛犬として飼うつもりだったので、会いに行くことにしたんです」

2015年2月18日、海老名さんは犬を連れて香川県のシェルターまで足を運んだ。先住犬との相性も見てみたいと思った。

まず、犬を車の中に置いたまま子犬に会ってみた。海老名さんを見ると、2匹の兄弟犬は大喜びで尻尾を振って迎えてくれた。しかし、もともと希望していた子犬は先住犬のカナイくんとの相性がよくなかった。もう1匹の子犬は、あまり動じないタイプのようで、人とも犬ともうまくやっていけそうだった。

セラピー犬になることが絶対条件ではなかったが、やはり先住犬と相性が良くなければ、お互いストレスになってしまう。

「いったん帰宅し、もう一度、経済的に大丈夫なのか、3匹になってもちゃんと世話をできるのか考えました。当初希望していた子犬とは違う子犬を譲渡してもらうことにしたんです」

またたく間にセラピー犬として活躍

3月、海老名さんは子犬を迎え、マルルくんと名付けた。

シニア犬のニライくんは、落ち着きのない子犬を多少うっとうしいと思ったようだったが、「仕方ないなあ」という感じで受け入れた。臆病で警戒心の強いカナイくんは、4日間ほど「近寄るな」というオーラを出した。

「お母さんを取られる、家を取られると思ったのでしょう。でも、4日目から急に一緒に遊び始めて仲良くなりました」

マルルくんは、セラピー犬の訓練をしたら、あっという間に必要なことを習得してくれた。5月には、海老名さんが個人的に訪問している施設で実習ができるようになり、7月には本格的にデビューした。

ドッグトレーナーでもある海老名さんのもとで、3匹の犬は、それぞれの犬生を謳歌している。

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