4歳でケージの外の世界を知った元繁殖犬 チワワのもみじは少しずつ真っすぐ歩けるように

岡部 充代 岡部 充代

 チワワのもみじちゃんは推定7歳の女の子。九州で繁殖犬として暮らしていましたが、ブリーダー崩壊により大阪の保護団体にレスキューされ、その後、縁あって岡山へ。『岡山保護犬日記』の名前で犬の保護・譲渡活動を行っている個人ボランティアさんの下で里親さんとの出会いを待ち、ようやく幸せを手に入れました。

 

 もみじちゃんを家族に迎えたのは岡山市に住む大橋祐子さん。すでにチワワ(さくらちゃん)を飼っていて2匹目には消極的、さらに当時は保護犬や里親について知識もなかったため、岡山保護犬日記で預かりボランティアをしていたママ友から勧められても断り続けていたそうです。それが、なぜ?

「もみじがさくらにそっくりだったのが大きいですね。あと、一緒に引き取られてきた子が先にもらわれていって、残されたもみじがさみしそうに見えたんです。それで会いに行ったら、ビビビッと来てしまって(笑)」

 

 ある日突然やってきたもみじちゃんを、先住犬のさくらちゃんはぴったりマークしたそうです。「ずっとついて歩いていたので、いつかもみじが怒りだすんじゃないかと心配したんですけど、1時間後には一緒に寝ていました」(大橋さん)。相性バッチリ! 大橋さんは正式に「お迎えさせてください」と連絡を入れました。

 ただ、もみじちゃんはヒトを怖がっていたと言います。大橋さんには大丈夫でしたが、息子さんたちにはビクビクして抱かれるのも嫌がっていたとか。そして、おかしなクセもありました。同じ場所を時計回りにクルクルクルクル回るのです。大橋さんが「見ていて目が回るかと思った」と表現するほどです。

「ブリーダーさんのところでずっと狭いサークルの中にいたからでしょう。ほんの1、2メートルの距離も真っすぐ歩けなかったんです。今はだいぶ歩けるようになりましたけどね」(大橋さん)

 

 オヤツをあげようとしても、遠くでクルクル回っていたり、欲しくて近づいてはくるけれど腰が引けていたり。でも、さくら姉ちゃんや、もみじちゃんより後にやって来た2匹の犬たちの様子を見て、「この人たちは大丈夫」「オヤツは美味しい」と学習したのでしょう、今では自分から「ちょうだい、ちょうだい!」とおねだりするようになりました。もみじちゃんにとっては、同居犬の存在が大きかったようです。

「さくらのマネはよくしていましたね。オシッコもトイレの場所にすぐできるようになりましたし。私が仕事のときは4匹でお留守番させるんですけど、母いわく『仲良くかたまって寝ている』そうです」(大橋さん)

 

 もみじちゃんに“家族”ができて約3年。たびたび顔を合わせる大橋さんの妹からオヤツをもらえるようになったのも昨年だと言いますから、かなり時間は掛かりましたが、無理もありません。4歳になって初めてケージの外の世界を知ったのです。

 心を許せるヒトが増えたということは、もみじちゃんにとってのストレスが軽減されているということ。もっともっと“生きやすい”毎日が、もみじちゃんを待っています。

「私の声を聞くと飛んできてくれますし、布団の上に横向きに寝て、お腹を見せてくれるようにもなりました。まだ“ヘソ天”はできないんですけどね(苦笑)」(大橋さん)

 次の目標は“ヘソ天”です!

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