留学を決意したきっかけは、子役時代に参加したミュージカル『レ・ミゼラブル』での経験。「スタッフさんのほとんどがイギリスの方で、通訳さんを通さないと芝居の話ができないという事態に直面しました。ダイレクトに会話することができればもっと深い話ができたり、役を高めていけるのではないかと思って。それが一番の理由です」。若干7歳での決断だった。
留学中はホームシック皆無。それだけ楽しく何不自由ない学園生活だった。食事という一点を除いては。「イギリスでの食事が自分の口には合わず、少し苦労しました。でもその分、帰国した時に食べる卵かけご飯や朝の目玉焼きなど、これまで当たり前に食べていた食事をより一層美味しく感じることができました」と笑う。
大好きなラーメンに対するリスペクトも深まった。「日本にいたときは“ついでにラーメン”だったけれど、イギリスではラーメン1杯で1,600円くらいしたのでそんなことはできません。替え玉代も高いので“替え玉を頼むかそれともチャーシュー丼にするか、それが問題だ”と悩みながら食べていました」とシェイクスピアの国だけあって真剣だった。
留学せずに3年間を日本で過ごしていたら「芸能活動をセーブすることなく俳優としての仕事ができたかもしれません」というも「それ以上に異国の地で正々堂々と胸を張って青春できたことは大きな経験。送り出してくれた家族にも“高校生らしい日々を楽しんでほしい”という気持ちがあったと思います。自分の人生にとっても本当に濃い3年間でした」と何物にも代えがたい時間だった。
羽を伸ばしてこれまでの人生でできなかったことを実現し、異文化に触れて視野も広がった。人としても俳優としても大きく成長したのは確かだ。約7年ぶりとなる映画主演作『#ハンド全力』が7月31日に全国公開される。