「どうして猫が保護犬カフェに?」 純血種なのにペットショップから放棄されたヒマラヤン

岡部 充代 岡部 充代

 2013年9月、保護犬カフェにいた1匹の猫が優しい家族と出会い、巣立っていきました。保護“犬”カフェに猫? そのお店は犬だけでなく、行き場のない猫も引き取り譲渡につなげていたのです。

 

 ヒマラヤンの男の子。生後8カ月でした。純血種の猫がなぜ保護犬カフェにいたかと言うと…。

「小さいときから下痢ばかりして売り物にならないからと、ペットショップが放棄したそうです」

 そう教えてくれたのは、現在の飼い主である鎌田晶子さん。すでに2匹、猫を飼っていましたが、テレビで保護犬カフェを紹介しているのを見て、居ても立ってもいられず行動に移しました。

「普段は情報番組を見ないんです。その日もテレビを消そうとしていたんですけど、直前に『保護犬カフェ』という言葉が聞こえてきて。飼い主の飼育放棄や、ペットショップから放棄される子もたくさんいると聞いて、すぐにお店のサイトを見ました。そうしたら、ヒマラヤンのかわいい子がいたんです。こんなにきれいなヒマラヤンがなぜ保護犬カフェに?って不思議でしたね」(鎌田さん)

 

 カフェでお目当ての猫と対面したときのことを、「写真よりちょっとぶちゃいくだった(笑)」と振り返る鎌田さん。でも、そんなことは問題ではありません。ケージに入れられた小さいカゴの中で丸まったまま動かず、「気難しい子なのかな」と心配しましたが、抱っこしようとすると出てきたそうです。店員さんが「あ、出てきた!」と声をあげたのは、それだけ珍しいことだったのでしょう。

「一緒に行った母と、『素直に出てきて抱っこされる子だったら連れて帰ろう』と話していたんです。だから決めました」(鎌田さん)

 家の準備を整えて迎えに行き、正式な家族になりました。

 ロクサス君と名付けられたその猫は、鎌田さんの家に来てから一度も下痢をしなかったそうです。病気ではなく、置かれていた環境のせいだったのでしょう。

「保護犬カフェの人も下痢気味と言っていたので、狭い所にいるのがストレスだったのかもしれません。ペットショップでは当然、ショーケースの中だったでしょうし、お店も保護“猫”カフェならフリーで動き回れたかもしれないけど、そこは保護“犬”カフェだから、猫はケージの中だったんです」(鎌田さん)

 家では他の2匹と一緒にのびのび生活しているというロクサス君。ケージも3段仕様なので広々です。

 ペットショップは下痢の原因を突き止める努力も、それに対して適切な対応を取ることもしなかったのではないでしょうか。ロクサス君は引き取ってくれた保護犬カフェと、家族に迎えてくれた鎌田さんのおかげで幸せになれましたが、その幸運に恵まれない子もいるかもしれません。ただ“商品”として扱われ、不幸な一生を送る動物たちがいなくなることを願うばかりです。

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