淡路島の野球場に捨てられていた子猫 人慣れしていなかったが“家猫修行”を経て家族の一員に

渡辺 陽 渡辺 陽

フォークくんという茶トラ猫は野球場で保護された。まったく人慣れしておらず、シャーシャー威嚇したが、やがて人に慣れ、茶トラの猫を探していた笹岡さんに引き取られた。笹岡さんは、子猫から育てられる最後の猫だと思って愛情を注いでいる。

 

野球場に捨てられていた子猫

2019年4月、兵庫県・淡路島の野球場に1匹の子猫が捨てられていた。猫の保護団体、淡路ワンニャンクラブが保護したが、人と関わったことがないようで、なでようとしてもシャーシャー言って逃げ回った。生後1カ月半くらいだった。元気で、ケージの中を素早く動き回っていたという。

野球場にいたので、名前はフォークくんになった。

可愛い顔なのに、とにかくシャーシャーが止まらないので、噛まれないように皮の手袋をしたスタッフが毎日なでたり、仰向けに寝かせてみたりして人慣れ修行を積んだ。やがてシャーシャー威嚇することはなくなり、愛くるしい目が印象的なイケメン猫になった。

子猫から育てるなら人生最後

京都府に住んでいる笹岡さんは、2016年5月、ペットの茶トラ猫を亡くした。どうしても忘れられなかったが、もう一度茶トラ猫を飼おうかどうしようか迷っていたという。

「新しい子を迎えても、亡くなるとつらいでしょう。またこんなつらい思いをするのかと思うと、簡単には飼えなかったんです」

笹岡さんは、あずきちゃんとずんだちゃんという猫を飼っていたが、新たに迎えるのなら、フレンドリーな子が多い茶トラ猫にしようと思っていた。

「考えた末、茶トラ猫を飼うことにしました。もう55歳なので、責任を持って飼うならラストチャンスだと思ったんです」

ひょうきんで可愛くて「この子にしよう」

サイトを検索すると、淡路ワンニャンクラブにいたフォークくんが目に留まった。2019年7月9日、フォークくんを引き取りに行った。フォークくんは、ハンモックに揺られたり、ぬいぐるみや人の手を噛んで遊んでいた。

「鼻が低い猫が好きなんですが、長めの鼻でした。でも、コテンと仰向けになって寝転ぶ姿がひょうきんで可愛くて、この子にしようと思いました」

先住猫がいることもあり、トライアルからスタートしたが、笹岡さんは飼うと決めていたそうだ。名前はバッテラくんにした。

家に来て2週間後にケージから出してフリーにすると、バッテラくんは、自分から先住猫に近寄って行った。あずきちゃんとずんだちゃんは、最初はシャーシャー言ったが、やがて受け入れた。

「バッテラは、怒られてもお姉ちゃん猫に乗っかるし、まったく空気を読まないんです。いまでも私の手を噛むことがあります」

獣医は、小さい頃、兄弟と一緒に育つと噛まれたら痛いということを覚えるが、1匹で育ったので、噛み癖はなかなか治らないと言った。

笹岡さんは、毎日朝までバッテラくんと一緒に寝ている。バッテラくんはまだ若いが、いまから「この子がおらんなったらどうしよう、この子に何かあったらどうしよう」と、思うのだという。

 

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