朝ドラ出演をきっかけにブレイクするのは今も昔も変わらず。渡辺いっけい(57)も1992年放送の連続テレビ小説『ひらり』へのレギュラー出演をきっかけに、俳優としてのキャリアを軌道に乗せた一人。小劇場で活躍していた舞台俳優としての自負もあり「テレビなんてちょろいぜ!と思っていた」というが、そんな心境も朝ドラ経験がガラリと変えた。
「マイノリティなものに惹かれるところが僕にはあるので、小劇場に出つつ所属事務所に言われて渋々テレビのオーディションにも通っていました。テレビをやる気はなくて『テレビ?けっ!』とさえ思っていた時代です。そんな折に朝ドラのオーディションに受かった。しかし出演することが決まっていた舞台もある。周囲からは『朝ドラをやることのメリットを考えろ』と言われて、僕は決まっていた舞台を蹴ったんです」。
30代間近という時期。人生の一つの分かれ道でもあった。渡辺は新しい場所に活路を求めて、メジャーに躍り出る決意を固めた。「小劇場側からは当然『どういうことだ!?』と言われて揉めました。でも僕は『朝ドラをやらせてください!』と。その時点で、もう二度と演劇界に戻ることはできないだろうという覚悟を持っていました」と当時を振り返る。俳優として舞台出演だけで生活ができていた自負もあり、それなりの自信もあった。