先月末の東京国際映画祭レッドカーペットで純白のシースルードレスに身を包み「大人の美貌」で報道陣をざわつかせた女優・のん。ユニクロのCMでも艶めいた表情で美しいピッチングを披露する。その心境の変化について「(能年玲奈から)『のん』になって、さらに『自分』を表現し、思いをより伝えたいと思うようになった」と話し、1人10役をこなした初舞台を始め、声優やアーティストなどとして経験を重ねた。
のんは神戸新聞のイメージキャラクターを務めており、9日、姫路市内で開かれた「神戸新聞まつり」後にインタビューに答えた。
その美貌が話題になった東京国際映画祭については、「あれは…ヘアメイクさんに、『ハッとするほどの強烈な美人にしてください』とお願いしたんです。だからヘアメイクさんのおかげなんです」といたずらっ子のような笑顔を見せたのん。「レッドカーペットってあまり話せないし、キレイだったら見てもらえるかな、と思って」と振り返った。
それでも、NHK連続ドラマ「あまちゃん」から7年が過ぎ、26歳になったのんの美しさは当時のさわやかな可愛らしさとは全く別物だ。独立騒動を乗り越え、現在は声優に自主レーベル立ち上げ、絵画展…と女優という枠を超え、活動の幅を広げる。
8月には渡辺えりが主宰するオフィス3〇〇の新作音楽劇「私の恋人」で初舞台を踏み、小日向文世と渡辺と3人で30役を演じ切った。「私たち含め出演者7人が、ずっと出ずっぱりで舞台裏で着替え、毎回いろんな役になる。思っていたよりずっと大変で、自分はタフだと思っていたけど健康って大切なんだ、と気づいた」とのん。演じるだけでなく、自分の中でも発想して、チームで形にしていく。「どちらも好きだけど、どちらもやっていくのは本当に大変。でもそれが楽しい」と充実感を漂わせる。
そんなのんが目指すのはどこなのか。「年を重ねて増していくものは取りこぼさず身に着けていきたいけれど、それを超越する人にもあこがれる。矢野顕子さんとか桃井かおりさんとか。渡辺えりさんも子どもの心を失わず、創作意欲が止まらない。ご一緒させていただき、すごくかっこよくて刺激的だった」。ふと伏し目がちに憂いのある大人びた表情を浮かべたかと思うと、次の瞬間、少女のように瞳を輝かせ楽しそうに笑う。そんなアンビバレントな美しさが、のんの魅力なのかもしれない。