コロナ禍でも季節の移ろい感じて癒しの時間を…気象予報士・半井小絵が城崎温泉で感じたこと

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、季節感を味わえる外出もままならない日々が続く。それでも、自然の中で季節の移ろいを感じたいもの。気象予報士の半井小絵が、兵庫・城崎温泉での体験をつづった。

温泉の効能+病は気から

 連日、新型コロナウィルスのニュースが報道されています。終息の時期が見えない状況に不安を覚え、私も冬ごもりをしているような気分になっていましたが、このところの春爛漫の陽気に元気づけられて、ようやく動き出さなきゃ!と思えるようになってきました。感染の拡大を防止するためには、行動に細心の注意を払わなければなりませんが、ひと時でも心を開放し、癒しの時間を持ちたいものです。

 先月初め、兵庫県豊岡市の城崎(きのさき)温泉に旅番組のロケに行ってきました。 城崎温泉は約1300年前に道智上人により開かれた霊湯です。 道智上人は永く温泉が栄える様にと城崎温泉の守護寺として温泉寺を開創されました。 古来より入湯前には温泉寺に参拝して湯杓を授かり、その湯杓を持って外湯に入る風習がありました。湯杓は単なるお湯をかける物ではなく、尊い道智上人のお手であり、本尊十一面観音のお手、薬師如来のお手であると考えられてきました。

 入浴の作法は、まず感謝の気持ちを唱え、頭から何度もお湯を浴びて身体を清めた後に、ようやく湯舟に浸かることができるというものです。 温泉寺の住職によると、尊いお手である湯杓は湯舟の中でも手に持ち、お湯に浸けずに高いところに掲げておくのも作法のひとつだそうです。

 そうすることでお湯をいただくことが、とても有難いという気持ちになりますね。湯杓には「衆病悉除(しゅうびょうしつじょ)…すべての病が取り除かれる」と書かれています。

 温泉の効能だけでなく、有難い気持ちが精神を安定させ体調に影響し、病が治癒するという、まさに、病は気から!に通ずる考え方です。その温泉寺までは城崎ロープウエイで約3分、その道中も四季折々の自然を楽しめる素晴らしい場所です。ぜひ心身の安祥を祈って訪れてみてはいかがでしょうか。

 このところのニュースで、なんとなく後ろ向き、下を向きがちになりますが、桜の便りが各地から届き、木々にも若い緑が芽吹いてくる季節です。上空には刷毛で描いたような巻雲、優しい色合いの春の雲が浮かんでいます。こんな時こそ、空を仰いで、季節のうつろいを感じてくださいね。

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