「あなたにコロナ対策で助成金が出てます」「検査キット送ります」…国の対策に便乗、新手の詐欺が続々 

多田 文明 多田 文明

 新型コロナウイルスの感染拡大にともない、新手のだましが続々と登場しています。感染対策の一環で「過剰な自粛」ムードが広がり、とてつもない「コロナ不況」に突入する危険性が叫ばれており、政府も様々な経済対策を施そうとしています。しかし、「国が動けば、詐欺師も動き出す!」ということ。国の施策に便乗したと思われる詐欺が、日々報告されています。

 今、国をあげて様々な対応策が図られています。国民生活安定緊急措置法によるマスク不足に乗じた高値での転売禁止、新型コロナウイルスの検査への保険適用、さらに改正特措法も成立しました。こうしたなかで私たちにとって一番心配なのが、これからの先の生活への不安でしょう。

 私も講演が中止なっていますが、多くのイベント、スポーツが取りやめとなりました。飲食店もガラガラの状況です。国内の経済活動がストップしてしまい、収入が途絶える人も出てきています。そこで国は緊急対応策として、無利子・無担保の貸付制度や、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者への助成金をスタートしました。

 今後も様々な支援策が講じられると思いますが、それらが世間に十分に認知されるまでには時間がかかります。詐欺というものは、私たちがよく理解していないところにはびこるものですから、こうした国の施策に便乗して、詐欺師たちも活発に動き出します。

 すでに詐欺につながる、アポイント電話(アポ電)がかかってきています。保健所を装って「コロナウイルスが流行していますので、手洗いとうがいを徹底してください」とアドバイスをしながら、家族構成などの個人情報を引き出そうとしています。

 また知人の医師に届いた注意喚起のメールによると、ある医師からの情報提供として、厚生労働省をかたり「〇〇地域でコロナが発生している。地域限定で検査キットを送ります」といって個人情報を聞き出した後に、病院を装い「厚生労働省から検査キットの連絡があったと思います」と電話をかけて、検査料を口座へ振り込むように促すものもあったそうです。あの手この手で私たちをだまそうとしていることが伺えます。

 助成金絡みの詐欺も起きています。40代男性のもとに役所をかたった人物から「あなたに、新型コロナウイルス対策で助成金が出ています」という電話があり、「銀行口座の登録が必要です」といわれて、ATMに誘導されました。しかし電話で指示された操作方法よくわからなかったので、警察官に声をかけたところ、詐欺が発覚しました。

 これはいわゆる還付金詐欺の一種で、「あなたにお金を振り込みます」といいながらATMでタッチパネル画面を操作させながら、逆に詐欺犯の口座にお金を振り込ませようとする手口です。この他にもコロナ対策室職員を名乗る人物から「お子様1人当たり3万円の助成金がある」という電話があり、銀行の口座番号を教えるようにいわれたものもあり、これも還付金詐欺につながる可能性は高いと思われます。

 訪問にも注意が必要です。国民健康保険課をかたった男が家にやってきて「ウイルス感染が終わるまで、毎月マスク配布します」と10万円を要求してきたり、水道の事業者を装い電話や訪問で「ウイルスが水道管についている」といい、洗浄して除去する費用10~20万円を請求してくるような悪徳商法も登場しています。

 大阪では高齢女性のもとに、息子をかたり「体調が悪い」と電話をかけてきて「病院で検査したら新型コロナに感染したといわれた」という、オレオレ詐欺に新型コロナを掛け合わせるような手口もあります。

 また北海道では、警察官をかたって電話をかけて「最近、新型コロナウイルスの感染に便乗する詐欺被害が多い」といいながら「自宅の電話に録音機を無料で設置しませんか」といわれたアポ電もあります。今、自宅の固定電話にかかる詐欺を防ぐために、相手の音声を自動録音できる詐欺対策用電話の設置が推奨されていますが、それを逆手にとった手口でしょう。

 今や詐欺・悪質商法は百花繚乱の相を呈しています。ウイルスへの市中感染を防ぐため、家にずっといる人が多くなっていますが、在宅率が高まると、それだけ電話や訪問による詐欺や悪質商法に遭遇し、だまされてしまう人が増えます。「国が動けば、詐欺師も動く」ことを肝に銘じて、十分な警戒をしていただければと思います。

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