指定ごみ袋が全国1位の岡山県真庭市 便乗(?)企画展でごみ問題を真剣に考える

黒川 裕生 黒川 裕生

全国の自治体指定ごみ袋を収集し、持ち手の有無や透明度、記名欄など、独自の基準で採点してリスト化している好事家が、大阪にいる。大阪市立自然史博物館の主任学芸員、初宿成彦(しやけ・しげひこ)さんだ。本業の昆虫分類と並行して10年以上続けてきた活動の成果を2019年12月に当サイトで報じたところ、最高得点をマークした岡山県真庭市の担当者が即座に反応。“初宿コレクション”を一挙紹介する「最高のごみ袋展」を2月21日から24日までの4日間、同市立中央図書館で実施することになった。

初宿さんはごみ袋を、
(1)「芸術」:イラストの有無など
(2)「国際」:多言語に対応しているか
(3)「やさしさ」:回収の人のための持ち手の有無
(4)「透明」:袋の透明度
(5)「責任感」:記名欄の有無
という5ポイントで評価。本人が口を酸っぱくして言っているように、点数はあくまでも「独断と偏見で基準を設けて数値化した」というだけであり、袋の「良し悪し」では断じてない。ましてや、高得点だからといって「良いごみ袋」というわけでもない。

…そうは言っても、やはり最高得点(80点)をもらえて嬉しい。ということですよね、真庭市環境課主幹の藤田浩史さん!!?

「もちろん否定はしません。否定はしませんが、この企画展はごみ袋の点数に焦点を当てるのではなく、そのさらに“先”のごみ問題を見据えたものです」

会場では初宿コレクションの一部、約120点を展示。多種多様な色、デザイン、素材を眺めているだけで、それぞれの自治体の雰囲気がなんとなく垣間見えてくる(気がする)のが面白い。

また真庭市は「SDGs未来都市」を掲げ、持続可能なごみの処理の実現に力を入れており、処理施設の統合やごみの減量、資源化を推進。特に、真庭市の燃えるごみのほぼ半分を占める生ごみをバイオ液体肥料にしたり、紙やプラスチックのさらなる再利用に知恵を絞ったりしているという。会場ではそうした取り組みも紹介。藤田さんは「ごみ袋が全国1位になったのをネタにしつつ、ごみ問題への市民の参加を呼びかけるきっかけにしたい。他の自治体に向けてのPRにもなれば」と期待する。

ところで初宿さん、えらい大きな話になりましたね。

「人に見てもらう機会なんてないと思っていたので、素直に嬉しい。アーティストが個展を開くときの気持ちって、こんな感じなのでしょうか」。違うと思います。

「最高のごみ袋展」は真庭市立中央図書館3階で、2月21日から24日。9時〜19時。入場無料。同図書館TEL 0867-44-2012

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